映画「セインツ-約束の果て-」は2013年のアメリカ映画
年始に蓮實重彦の映画の新書「見るレッスン」を読んだ。その中で絶賛されているのがデイヴィッド・ロウリー監督とその監督作品映画「セインツ」である。この映画の記憶はない。主演は「ソーシャルネットワーク」と「ドラゴンタトゥー」を撮った後のルーニー・マーラでこの映画は気にいったはずなのに存在に気づいていなかった。褒め言葉をよんで、いきなりamazonでピックアップして観てみた。妻の懐妊に気づいた後で銀行強盗を犯して捕まって収監された元常習犯が、脱獄して妻の元へ戻ろうとするという話である。
蓮實重彦の本の中では90分で映画をおさめることの素晴らしさが語られる。「セインツ」もほぼ94分である。映画の趣旨を簡潔に映像で捉えているのは確かによくわかる。無駄がない。その中で大草原が延々と続くアメリカの田舎を映す映像もきれいだ。カントリータッチの音楽もうるさくなく、心に刺さる。独特のムードで最終場面に向けて単純には行かないんだろうなあと思わせるストーリーも先を読ませず、確かに推奨作品といえる快作である。
強盗を繰り返しているカップルがいる。ルース(ルーニー・マーラ)が懐妊しているのに知りながらもボブ(ケイシー・アフレック)は仲間と銀行強盗に入る。しかし、保安官たちに囲まれ銃撃戦になったときに、ルーズが撃った銃弾が保安官パトリック(ベン・フォスター)の肩にあたる。ボブはここで収監してもすぐでられるよとルースをかばって投降する。やがて、ルースは無罪となり出産するが、ボブは懲役25年となってしまった。
ボブとルースの育ての親であるスケリット(キース・キャラダイン)はボブが刑務所にいる間にルースと娘に家を買い与えて本当の親のように見守っていた。ある日、ルースの家に保安官パトリックが姿を見せる。どうやらボブが脱獄したようだ。5回失敗した後で看守の目を盗み作業者から逃げた。そのあと、貨物列車に乗ったり、通りがかりの女を脅したりして移動していた。
同時にスケリットが営む店にはボブを狙った殺し屋たちが戻ってくることを予測してたむろってくるのであるが。。。
1.ボブとルースを取り巻く人間関係
単純に妻の元へ戻ってくるという話にはしない。ボブには黒人でバーを経営するむかしの仲間がいる。元のすみかに戻ってきてまずは仲間を頼る。これはボブにとっての援助者だ。保安官は知人として当然来ているか確認するが、仲間は黙っている。
育ての親パトリックもボブにとっては味方の一人だが、娘を育てているルースとボブの仲がもどるのがいいと思っていないので完全の味方ではない。そんなパトリックの元に殺し屋集団が来る。なんかわけがわからない連中だけど、こういう存在がいるので最終の決着がわけわからなくなるのだ。
映画を見るのに集中できるのはストーリーの先行きが気になるからだと思う。まさにそれ、変化技にうなる。
2.蓮實重彦「見るレッスン」
文面は一つの文を句読点を使って長めに書くいかにも蓮實重彦というようなタッチではない。内容は好き嫌いが激しい彼らしく、世間で評判がいいとされる作品も一刀両断される。「デトロイト」のキャスリン・ビグローやソフィア・コッポラも蓮實重彦からみると酷評である。ゴダールやウディアレンのように映画を90分におさめることにこだわっていて、デイヴィッド・ロウリー監督の評価がやけにいい。なんと、蓮實先生自ら直接メールをしたそうな。年初あらためてデイヴィッド・ロウリー監督を追ってみたい。
日本映画では別の意味で有名になった濱口竜介監督「寝ても覚めても」が推奨されている。これは自分と同意見だ。しかも、世間でボロクソにされた唐田えりかを非常に魅力的と評している。まあ、元東大総長の蓮實重彦にとっては週刊誌ネタはどうでもいいことだろう。それに負けじとルーニー・マーラは「キャロル」に劣らずかわいいけど。
その一方で「カメラを止めるな」はある女性から聞いた話では、彼女の住むマンションのママたちはみんな見ていたらしい。でも、それはないだろうと思います。だから、自分の好きなものを発見せよと言いたい。(蓮實2020 p.4)こういうことはありがちかもね。
年始に蓮實重彦の映画の新書「見るレッスン」を読んだ。その中で絶賛されているのがデイヴィッド・ロウリー監督とその監督作品映画「セインツ」である。この映画の記憶はない。主演は「ソーシャルネットワーク」と「ドラゴンタトゥー」を撮った後のルーニー・マーラでこの映画は気にいったはずなのに存在に気づいていなかった。褒め言葉をよんで、いきなりamazonでピックアップして観てみた。妻の懐妊に気づいた後で銀行強盗を犯して捕まって収監された元常習犯が、脱獄して妻の元へ戻ろうとするという話である。
蓮實重彦の本の中では90分で映画をおさめることの素晴らしさが語られる。「セインツ」もほぼ94分である。映画の趣旨を簡潔に映像で捉えているのは確かによくわかる。無駄がない。その中で大草原が延々と続くアメリカの田舎を映す映像もきれいだ。カントリータッチの音楽もうるさくなく、心に刺さる。独特のムードで最終場面に向けて単純には行かないんだろうなあと思わせるストーリーも先を読ませず、確かに推奨作品といえる快作である。
強盗を繰り返しているカップルがいる。ルース(ルーニー・マーラ)が懐妊しているのに知りながらもボブ(ケイシー・アフレック)は仲間と銀行強盗に入る。しかし、保安官たちに囲まれ銃撃戦になったときに、ルーズが撃った銃弾が保安官パトリック(ベン・フォスター)の肩にあたる。ボブはここで収監してもすぐでられるよとルースをかばって投降する。やがて、ルースは無罪となり出産するが、ボブは懲役25年となってしまった。
ボブとルースの育ての親であるスケリット(キース・キャラダイン)はボブが刑務所にいる間にルースと娘に家を買い与えて本当の親のように見守っていた。ある日、ルースの家に保安官パトリックが姿を見せる。どうやらボブが脱獄したようだ。5回失敗した後で看守の目を盗み作業者から逃げた。そのあと、貨物列車に乗ったり、通りがかりの女を脅したりして移動していた。
同時にスケリットが営む店にはボブを狙った殺し屋たちが戻ってくることを予測してたむろってくるのであるが。。。
1.ボブとルースを取り巻く人間関係
単純に妻の元へ戻ってくるという話にはしない。ボブには黒人でバーを経営するむかしの仲間がいる。元のすみかに戻ってきてまずは仲間を頼る。これはボブにとっての援助者だ。保安官は知人として当然来ているか確認するが、仲間は黙っている。
育ての親パトリックもボブにとっては味方の一人だが、娘を育てているルースとボブの仲がもどるのがいいと思っていないので完全の味方ではない。そんなパトリックの元に殺し屋集団が来る。なんかわけがわからない連中だけど、こういう存在がいるので最終の決着がわけわからなくなるのだ。
映画を見るのに集中できるのはストーリーの先行きが気になるからだと思う。まさにそれ、変化技にうなる。
2.蓮實重彦「見るレッスン」
文面は一つの文を句読点を使って長めに書くいかにも蓮實重彦というようなタッチではない。内容は好き嫌いが激しい彼らしく、世間で評判がいいとされる作品も一刀両断される。「デトロイト」のキャスリン・ビグローやソフィア・コッポラも蓮實重彦からみると酷評である。ゴダールやウディアレンのように映画を90分におさめることにこだわっていて、デイヴィッド・ロウリー監督の評価がやけにいい。なんと、蓮實先生自ら直接メールをしたそうな。年初あらためてデイヴィッド・ロウリー監督を追ってみたい。
日本映画では別の意味で有名になった濱口竜介監督「寝ても覚めても」が推奨されている。これは自分と同意見だ。しかも、世間でボロクソにされた唐田えりかを非常に魅力的と評している。まあ、元東大総長の蓮實重彦にとっては週刊誌ネタはどうでもいいことだろう。それに負けじとルーニー・マーラは「キャロル」に劣らずかわいいけど。
その一方で「カメラを止めるな」はある女性から聞いた話では、彼女の住むマンションのママたちはみんな見ていたらしい。でも、それはないだろうと思います。だから、自分の好きなものを発見せよと言いたい。(蓮實2020 p.4)こういうことはありがちかもね。