ふたご座流星群が極大を迎えるこの日は仕事を入れないつもりだったのだが、同僚がコロナに感染し代わりに出張を引き受けた上に夜は臨時のコロナワクチン接種の手伝いが入り終わったのは夜の8時を過ぎてしまった。流星群の極大は夜10時ごろで、ふたご座が空高く昇るのは12時ごろなので、まだ十分に間に合う時間である。あまり遠出は出来ないので甲府盆地の町灯りが見下ろせる八王子山に行くことにする。展望台に到着したのは9時半ごろになり、オリオン座と冬の大三角形が南東の空に昇っていた。さっそく2台のカメラをセットしてインターバル撮影を開始する。
展望岩の上に2台のカメラをセットする。スマホで撮影。
1台のカメラは甲府の町灯りと富士山が入るこの画角で固定。やがておおいぬ座シリウスが画角に入ってくる構図である。
もう1台はまず西側の空に明るく輝く木星と南アルプス狙ってみる。大きな流星が流れたがそれはカメラのセットが完了する前だった。
位置を変えてオリオン座と冬の大三角形を狙う。冬の大三角形の横を流れた流星。
八王子山の上に流れ落ちた流星
さらに位置を変えて富士山と甲府の町灯りとシリウスを入れた構図で固定する。
富士山の上を流れた流星
2つ並んで流れた流星
おおいぬ座シリウスの横を流れた流星
もう1台のカメラは10㎜広角なので大きな流星はあまり写ってこないだろうと思っていたのだが・・・
以外にも大きな流星が写り込んでいた。肉眼でも見たが、画角の途中からしか入っていないだろうと思ったのだがうまく収まっていた。
縦位置で切り抜くと迫力がさらに伝わって来る。
富士山の上を流れた流星
シリウスの脇を流れた流星。前出のものと同じもの。
毛無山の上を流れた流星。そして毛無山の左側の低空には小さく星が輝いている。この星は・・・。
南天を巡る星空。撮影した1200コマのうち後半の633コマを比較明合成。流星が8個くらい写っている。
さて、今回の最大の目的はもちろんふたご座流星群と甲府盆地の町灯りなのであるが、もうひとつ見えるか見えないか確認しておきたかった星がある。それが南の低空に昇って来るカノープスである。ステラナビゲータの計算上は見えるはずなのだが、実際に見えるかどうかは見てみないと分からない。計算上は11時40分ごろに見えてくるはずだが・・・双眼鏡で覗き込んでも見えない。
毛無山の上を流れた流星。見えにくいが毛無山の左側に小さな星が見えている。
さらに右側を流れた流星。カノープスが見えているのだが町灯りに消されて見えにくい。
シリウスとカノープスが輝いているが・・・
トリーミングしてみるとカノープスが輝いているのが分かる。
シリウスとカノープスの軌跡。毛無山の左から現れて側面に沈んで行く低空の軌跡がカノープス。
昨年あたりからふたご座流星群の出現数はだいぶ減ってきたように思う。宇宙の塵がだいぶ無くなってしまったのではないかという気がする。見たかったカノープスは双眼鏡でも肉眼でも確認することが出来たが、やはり八王子山の標高が低いために甲府盆地の町灯りにかき消されてしまい、よほど澄んだ条件の良い日でなければ見えないのではないかと思う。この日はある程度の風が吹いて空気が澄み、好条件が揃ってくれたのが良かったと思う。もう少し標高の高いところからカノープスを眺めたいのだが、テントを担いで山の上で一晩を過ごすには体力的な不安があり、よほど気合を入れないと実現は難しい歳になってきた。