平成23年7月2-3日
赤岳の南に位置する権現岳、さらにその向こうの南アルプス。この山々の上に流れる天の川を期待していたのだが、赤岳山頂小屋の夜は一晩中雲が巻き真白な夜だった。夜10時に外に出てみたが何も見えない。
赤岳山頂で記念撮影。これからキレットを超えて権現岳へ。
朝は4時に目が覚めた。あたりがもう明るくなり始めている。外に出た人たちが「何も見えないよ」と会話している声が聞こえる。日の出時刻の4時半に起き出して外に出てみるが、霧で視界が20mほどしかない。日の出も全く見えない朝だった。朝食は5時半からだったが、私は注文せずに自炊で朝食をとる。6時、小屋を出発。赤岳山頂にある標柱のところで3人で記念撮影をした後、キレットを目指して下り始める。霧で視界が悪い中をただひたすら鎖とハシゴの連続する急斜面を下りる。途中にはチョウノスケソウやイワウメの群落、咲き始めたミヤマシオガマ、ミヤマキンバイ、ハクサンイチゲなど、岩の隙間にたくましく咲いていた。
朝露に濡れるチシマアマナ
霧に霞む八ヶ岳のお花畑
真行寺尾根分岐部。霧に霞む。
チョウノスケソウ群落 この花は傷みやすく、新鮮な状態を撮るのが難しい。
シコタンソウ
霧のキレットを下る。花は咲き始めたばかりのミヤマシオガマ
鎖とハシゴの連続。左腕の疲れがしだいに増してくる・・・
イワウメ大群落
キレットのお花畑。ミヤマキンバイ、キバナノコマノツメ、ミヤマシオガマ、ハクサンイチゲなど。ミヤマダイコンソウはまだ葉っぱだけ。
ミヤマクロユリ
キレット小屋のあたりまで下りたところで一瞬青空が見え、赤岳が全容を現した。鋭く尖った岩峰がいくつも立ち並ぶその様相はいつも見慣れている赤岳とはずいぶん違って見えた。下りてくる最中は霧に巻かれて何も見えなかったが、振り返って見るとどこをどうやって下りてきたのだろうか。
一瞬空が晴れ、全容を見せた赤岳。いちばん左が山頂。
霧に霞む旭岳。このあたりで左腕が攣る。
旭岳への崖のような登り。
しばし休憩してツルネのピークに向うが、キレットの鎖とハシゴで左腕が相当疲れていた。痛みこそ軽いが、筋性疲労で力が入りにくくなってきていた。ツルネを越えて進むが、このあたりは至って穏やかな普通の登山道だ。しかし、旭岳に近付くにつれてまた道は険しくなり、急斜面の岩場を登ったり鎖があったりとアルペンルートに変わる。そして旭岳目前で休憩した際に、遂に左腕が攣ってしまう。頚椎症のために筋力だけでなく持久力が相当落ちてしまったようだ。腕をマッサージして再び登る。旭岳への崖登り、さらに岩場と鎖場が続き、最後に60段のハシゴが待っていた。途中で何度も左腕をブラブラさせて休みながら苦手なハシゴを登り、ようやく権現岳に到着した。どうやら今の左腕の状態では鎖・ハシゴ・岩場は3時間くらいが限界のようだ。
先に到着していた2人には申し訳ないのだが、権現岳でゆっくり休ませてもらい、腕を十分にマッサージして出発する。あとは下りの鎖場が少しあるだけで、三ツ頭から天女山へのルートは普通の登山道だ。
権現岳の長いハシゴ直下、ミヤマシオガマ満開。
ようやく着いた権現岳。あとは下るだけだが、ここから先がまだ長い。
権現岳山頂付近に咲いていたミヤマキンバイ
ミヤマクロユリ群落
霞む権現岳山頂と神社
左腕を使わないでいると次第に腕の疲れがとれてきて、ようやく花を探す余裕が出てきた。登山道脇を首を振り振り歩いているとピンクの可愛らしい花、カモメランを発見した。さらに先頭を歩いていたAさんがとんでもないものを発見。ランはランだが、葉緑素を持たない腐生植物のラン、ヒメムヨウラン(姫無葉蘭)だ。初めて見たし、こんな植物がこのルートにあるとは思ってもいなかった。絶滅危惧種にこそ入ってはいないが、出会うことはきわめて困難といって良いだろう。三脚を出して存分に撮影させてもらった。
カモメラン発見。山の中にも咲くのを知った。
腐生植物ヒメムヨウラン。もう2度とお目にかかれないかもしれない。
ひたすら天女山に向って下り、3時ごろに天女山到着。ここから先がまた大変で、八ヶ岳遊歩道は車を止めたところまで7kmほどあり、しかも緩い昇りだ。2人について行けず、またしても先に行ってもらうことにした。ほぼ中間点にある水場のところで2人は待っていてくれ、ここで最も健脚のKさんが先に行って車を回収し、美が森の駐車場まで迎えに来てくれることになった。私はしばし休憩させてもらい、ここで荷物を軽くすべく、カップソバを食べる。
やっと到着、天女山駐車場。でもここから車まではまだ2時間以上かかる・・・
遊歩道を歩いて行くと地獄谷へ行く林道に出くわし、この林道を歩いて美が森駐車場に着いた。10分と経たないうちにKさんが車でやって来た。歩けばまだ40~50分はかかるだろう。本当に助かった。
初めて越えた八ヶ岳キレット、想定以上に大変な行程だった。首を故障して以来、いちばん過酷なコースとなり、現在の状態での限界も見えてきた。イチヨウラン、カモメラン、ヒメムヨウランという稀少種の収穫があったが、自分自身の体の限界がわかってきたことも大きな収穫だった。
赤岳の南に位置する権現岳、さらにその向こうの南アルプス。この山々の上に流れる天の川を期待していたのだが、赤岳山頂小屋の夜は一晩中雲が巻き真白な夜だった。夜10時に外に出てみたが何も見えない。
赤岳山頂で記念撮影。これからキレットを超えて権現岳へ。
朝は4時に目が覚めた。あたりがもう明るくなり始めている。外に出た人たちが「何も見えないよ」と会話している声が聞こえる。日の出時刻の4時半に起き出して外に出てみるが、霧で視界が20mほどしかない。日の出も全く見えない朝だった。朝食は5時半からだったが、私は注文せずに自炊で朝食をとる。6時、小屋を出発。赤岳山頂にある標柱のところで3人で記念撮影をした後、キレットを目指して下り始める。霧で視界が悪い中をただひたすら鎖とハシゴの連続する急斜面を下りる。途中にはチョウノスケソウやイワウメの群落、咲き始めたミヤマシオガマ、ミヤマキンバイ、ハクサンイチゲなど、岩の隙間にたくましく咲いていた。
朝露に濡れるチシマアマナ
霧に霞む八ヶ岳のお花畑
真行寺尾根分岐部。霧に霞む。
チョウノスケソウ群落 この花は傷みやすく、新鮮な状態を撮るのが難しい。
シコタンソウ
霧のキレットを下る。花は咲き始めたばかりのミヤマシオガマ
鎖とハシゴの連続。左腕の疲れがしだいに増してくる・・・
イワウメ大群落
キレットのお花畑。ミヤマキンバイ、キバナノコマノツメ、ミヤマシオガマ、ハクサンイチゲなど。ミヤマダイコンソウはまだ葉っぱだけ。
ミヤマクロユリ
キレット小屋のあたりまで下りたところで一瞬青空が見え、赤岳が全容を現した。鋭く尖った岩峰がいくつも立ち並ぶその様相はいつも見慣れている赤岳とはずいぶん違って見えた。下りてくる最中は霧に巻かれて何も見えなかったが、振り返って見るとどこをどうやって下りてきたのだろうか。
一瞬空が晴れ、全容を見せた赤岳。いちばん左が山頂。
霧に霞む旭岳。このあたりで左腕が攣る。
旭岳への崖のような登り。
しばし休憩してツルネのピークに向うが、キレットの鎖とハシゴで左腕が相当疲れていた。痛みこそ軽いが、筋性疲労で力が入りにくくなってきていた。ツルネを越えて進むが、このあたりは至って穏やかな普通の登山道だ。しかし、旭岳に近付くにつれてまた道は険しくなり、急斜面の岩場を登ったり鎖があったりとアルペンルートに変わる。そして旭岳目前で休憩した際に、遂に左腕が攣ってしまう。頚椎症のために筋力だけでなく持久力が相当落ちてしまったようだ。腕をマッサージして再び登る。旭岳への崖登り、さらに岩場と鎖場が続き、最後に60段のハシゴが待っていた。途中で何度も左腕をブラブラさせて休みながら苦手なハシゴを登り、ようやく権現岳に到着した。どうやら今の左腕の状態では鎖・ハシゴ・岩場は3時間くらいが限界のようだ。
先に到着していた2人には申し訳ないのだが、権現岳でゆっくり休ませてもらい、腕を十分にマッサージして出発する。あとは下りの鎖場が少しあるだけで、三ツ頭から天女山へのルートは普通の登山道だ。
権現岳の長いハシゴ直下、ミヤマシオガマ満開。
ようやく着いた権現岳。あとは下るだけだが、ここから先がまだ長い。
権現岳山頂付近に咲いていたミヤマキンバイ
ミヤマクロユリ群落
霞む権現岳山頂と神社
左腕を使わないでいると次第に腕の疲れがとれてきて、ようやく花を探す余裕が出てきた。登山道脇を首を振り振り歩いているとピンクの可愛らしい花、カモメランを発見した。さらに先頭を歩いていたAさんがとんでもないものを発見。ランはランだが、葉緑素を持たない腐生植物のラン、ヒメムヨウラン(姫無葉蘭)だ。初めて見たし、こんな植物がこのルートにあるとは思ってもいなかった。絶滅危惧種にこそ入ってはいないが、出会うことはきわめて困難といって良いだろう。三脚を出して存分に撮影させてもらった。
カモメラン発見。山の中にも咲くのを知った。
腐生植物ヒメムヨウラン。もう2度とお目にかかれないかもしれない。
ひたすら天女山に向って下り、3時ごろに天女山到着。ここから先がまた大変で、八ヶ岳遊歩道は車を止めたところまで7kmほどあり、しかも緩い昇りだ。2人について行けず、またしても先に行ってもらうことにした。ほぼ中間点にある水場のところで2人は待っていてくれ、ここで最も健脚のKさんが先に行って車を回収し、美が森の駐車場まで迎えに来てくれることになった。私はしばし休憩させてもらい、ここで荷物を軽くすべく、カップソバを食べる。
やっと到着、天女山駐車場。でもここから車まではまだ2時間以上かかる・・・
遊歩道を歩いて行くと地獄谷へ行く林道に出くわし、この林道を歩いて美が森駐車場に着いた。10分と経たないうちにKさんが車でやって来た。歩けばまだ40~50分はかかるだろう。本当に助かった。
初めて越えた八ヶ岳キレット、想定以上に大変な行程だった。首を故障して以来、いちばん過酷なコースとなり、現在の状態での限界も見えてきた。イチヨウラン、カモメラン、ヒメムヨウランという稀少種の収穫があったが、自分自身の体の限界がわかってきたことも大きな収穫だった。