60歳を過ぎると引退する人も多く、同窓会が頻繁になる。出席を強要される場合もある。所詮、昔話の会合なのでもっと気楽に、自由参加の雰囲気で開催して貰いたいと思う。
○アメリカの同窓会の気楽さ
学歴によって差別しないアメリカ社会では、どの学校を卒業したかは重要でない。
多くの学校では開校記念日などを「ホームカミング・デイ」と称して、老若男女の同窓生が学校へ帰ってくる。卒業した時代ごとや、学生クラブごとの昼食会をした後、校内を散歩し個人個人が学生時代を懐かしむ。
フットボールで有名なオハイオ州立大学の各学科の同窓会は、フットボールの試合の日に開かれる。従って、毎年、開催日が違う。学科ごとの昼食会に出席し、格安の入場券を買う。昼食後は大きなスタジアムへ行き、母校のチームを応援する。
金属工学科では、慈悲深いマフィヤの親分のように見える老学科主任だけが昼食会へ出席する。他の教授連は出ない。アメリカ社会の同窓会は自由な雰囲気がみなぎり、個人の楽しみを重視する。
同窓会としての組織が無いところが多い。
日本の高校や大学では卒業生を自動的に同窓会組織へ入会させ、毎年会費を徴収しようとする。また、体育系の部活動の遠征費などへの寄付をしつこく呼びかけて来る。どこで入手するのか、同窓生名簿を使って投資や商品購入の勧誘の電話が来る。
アメリカの同窓会を体験し、日本と比較すると、学校制度の役割の違いも理解できる。本来、どこの学校に入学するかは個人の自由である。同窓会組織に入会するか否かも個人の自由である。
○アメリカの大学の同窓会の日本支部
戦後60年以上になると、日本の高校を卒業してアメリカの大学へ入学、卒業する人の数も多くなる。従って、有名アメリカ大学にはたいてい同窓会の日本支部が組織化されている。ある有名大学はその日本支部を利用して大企業から研究費や寄付金を集める。
事の善悪は問わないが、何かアメリカ文化のよさを歪曲しているようで困ったものだ。
オハイオ州立大学の同窓会にも日本支部がある。卒業生で大企業の社長になった人がなんとなく交代で会長になり、毎年一回、夕食会の開催を連絡してくる。参加者は受付で夕食代を支払って入場する。アメリカ流に三々五々飲み始める。偉い人の退屈な長い挨拶や話が無い。オハイオ・コロンバスの昔話を楽しむ。多く出る話題は英語に苦労した話、学生時代の貧乏生活の話などである。最後に参加者の健康を祝し乾杯をして終わる。(以下、続く)下の写真の出典は、Ohio State University の Home Page より。