後藤和弘のブログ

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ブログ文化(2)タテ社会の崩壊とブログの隆盛を考えるための参考書

2008年06月24日 | 日記・エッセイ・コラム

これから2、3回に分けて、ブログの隆盛は何故起きたか?という問題について考えて行きたいと思う。

明快な解答をみちびくために、2冊の本の助けを借りることにした。

用いた古典的名著はルース・ベネデクト著の「菊と刀」と中根千枝著の「タテ社会の人間関係」の2冊である。

論理の流れは以下のようになる。

タテ社会は日本の戦中、戦後を通して基本的な社会構造であった。しかし1990年頃の所謂「バブル経済の崩壊」でタテ社会が崩壊した。その結果いろいろ新しい社会現象が起きたが、ブログの隆盛もそれら新しい社会現象の一つである。

一方、「菊と刀」では、日本人の考え方、深い心の動き(コア・メンタリテイ)と日本人特有の行動様式の関係を明快に分析している。研究対象が、心の奥の動き、日本人特有の深層心理になっている。

タテ社会が崩壊しても、ブログが隆盛しても日本人特有の深層心理にはあまり大きな変化がない。と筆者は思う。

簡潔に言えば、ブログの隆盛、日本のタテ社会、日本人の深層心理の3項目の関係を描く予定である。

この回の最後に中根千枝の本の内容抜粋を講談社Book倶楽部(http://shop.kodansha.jp/bc/)より引用した。1960年から1990年に至る間、実社会で働いてきた人々にとっては、自分の体験と見事に合致することに驚くと思う。

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中根千枝著、講談社1967年初版、「タテ社会の人間関係」の内容の一部。

日本社会の人間関係は、個人主義・契約精神の根づいた欧米とは、大きな相違をみせている。「場」を強調し「ウチ」「ソト」を強く意識する日本的社会構造にはどのような条件が考えられるか。「単一社会の理論」によりその本質をとらえロングセラーを続ける。

〈ウチの者以外は人間にあらずの感〉「ウチ」「ヨソ」の意識じ強く、この感覚が尖鋭化してくると、まるで「ウチ」の者以外は人間ではなくなってしまうと思われるほどの極端な人間関係のコントラストが、同じ社会にみられるようになる。知らない人だったら、つきとばして席を獲得したその同じ人が、親しい知人――特に職場で自分より上の人――に対しては、自分がどんなに疲れていても席を譲るといった滑稽なすがたがみられるのである。――本書より(終わり)