後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

新刊ご案内:盛田常夫著「ポスト社会主義の政治経済学」、日本評論社

2009年12月01日 | インポート

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写真は悠々とハンガリーを流れるドナウ河(Wikipedea,ハンガリーより引用)

盛田常夫氏の新刊 「ポスト社会主義の政治経済学」 がこの12月中に日本評論社より発刊されます。盛田常夫氏はBYOOLというSNSの会員でネット上の友人です。

盛田氏はハンガリーに何十年も住んでいて社会主義体制が資本主義体制へ変革する様子をハンガリーの内側から観察し、研究を深めてきました。先日、一時帰国されて講演会を開催しました。講演の内容はハンガリーの社会の変化と実生活の変化を具体的に説明したもので興味深い内容でした。

一国の社会体制が共産主義から市場原理にもとずいた資本主義へ変革することは容易な事ではありません。我々日本人の想像を絶する混乱と不幸な出来事が起きます。それをハンガリーはどの様に克服しつつあるのでしょうか?特に昨年以来の金融危機のダメージが大きかったのです。東ヨーロッパといっても国々によって体制変換の様子が大きく異なるようです。

そのようなハンガリーの体制変換を理論的に考察し歴史学的な専門書にまとめ上げた力作です。お問い合わせは日本評論社の方へお願いいたします。なお、BYOOLというSNSへ入会すると送料無料で自宅へ送付してくれるサービスが使えます。このSNSは良質な会員が揃っていますので、この際ご入会することをお勧め致します。(終り)

補遺:「ポスト社会主義の政治経済学」の内容・目次

1.体制転換の哲学

国民経済計画の不可能性 体制転換(移行):何から何へ 配分と交換 社会の自己崩壊 社会主義は自立した社会構成体か アポトーシス型社会とネクローシス型社会 社会転換のアポリア 「移行」と「転換」 社会転換のイデオロギー ポスト社会主義のイデオロギー 

2.ポスト社会主義の経済システム-国家資本主義と国庫資本主義

「漸次的」改革か、「急進的」改革か 体制転換のアポリア 資本の原始的蓄積 直接投資による再民営化 体制転換のエポック 国庫資本主義:生産と分配の非対称性 経済システムは収斂するか

3.借り物経済とゲストワーカー現象

借り物経済 資金調達と直接投資 産業分野による差異 ゲストワーカー現象:多国籍企業との共生現象

「甘え」の構造-体制転換貴族 借り物経済のマクロ分析

4.経済危機下の中欧経済-ハンガリー危機を分析する

危機の勃発 危機の構造 危機の原因 危機のコスト 危機の効用 危機の将来

5.ポスト社会主義の政治システム-オポチュニズムとポピュリズム

戦時のイデオロギーと平時のオポチュニズム 「左翼」-「右翼」分類の陳腐化 政治倫理の欠如 ポピュリズム 民族主義 遅れてやってきた政治の転換

6.歴史評価と統治の正統性

ホルン元首相叙勲騒動 ホルンの経歴と役割 平和的移行と統治の正統性 歴史的偶然と個人の役割 ナジ・イムレ処刑の評価 正統性の形式と実体

7.独裁権力下の個人と倫理

政治的転換の二つの型 「タブー」をめぐる抗争 治安警察との関わり 映画:Taking Side(対峙) 治安警察と粛清事件 ノエル・H・フィールド事件からライク粛清へ 狂気と化すスターリン主義 56年動乱への道 「父と子」

8.ポスト社会主義の社会分析-役人主権の変化と継続

「コメコン商品」:安かろう悪かろう 医師主権 役人主権 「コメコン事務所」 情報伝達の欠如と顧客軽視 公営企業の仕事振り 規律を欠く国会、けじめのないエリートたち

9.ポスト社会主義のイデオロギー:ネオ・リベラリズム

旧体制を引き摺る医療制度 「1ユーロ」をめぐる国民投票 複数保険制度-医療保険民営化構想 「コーヒーと紅茶」:政府案への批判 映画:Sicko 複数保険イデオロギー

10.コルナイ経済学をどう理解するか

経済学は科学か、それともレトリックか コルナイの理論的軌跡 レトリックとアナロジー 理論と政策

コルナイ経済学の特質: 理論か、それともイデオロギーか 結びに代えて__


共産主義革命とロシアでのキリスト教の復活

2009年12月01日 | 日記・エッセイ・コラム

貴族が貧しい農奴を搾取して贅沢な生活をしている。宗教団体が貴族階級に支援され豪華な教会を建設する。費用が莫大なので貴族がまた領民の農奴の搾取を一層過酷にする。これが産業革命に遅れをとった革命前の帝政ロシアの社会でした。革命が起きるのは歴史的必然でした。その革命を支えた思想が共産主義でした。農民を大切にし、宗教を否定し、ロシア正教を壊滅させました。教会の鐘を破壊し、神父を追放し、人々が教会へ行くのを禁じました。これが1917年のロシア革命から1989年のベルリンの壁の崩壊まで72年間続いたのです。共産主義は革命を起こすには有効な思想でしたが、人々を豊かにし、社会の経済発展の為には致命的な欠陥を露呈しました。人々を怠惰にし、生産効率を下げ、政治家の権力闘争だけを熾烈にする本質的な欠陥を持っていたのです。冷戦でアメリカに完全に敗北したのは当然の帰結のように思えます。

昨夜のNHKテレビの10時から「世界遺産への招待状」で最近のロシアの教会活動の復活の様子が丁寧に報道していました。ロシア正教は聖ニコライが1950年代に函館に伝え。日露戦争のとき、日本のロシア正教会は実質的に独立して日本正教会となりました。

一昨日お茶の水のニコライ堂で3時間という長い聖体礼儀に参加したばかりなので非常に親近感を持って見ました。

我々日本人にとって違和感を与える異様なタマネギ頭の塔を許してあげればもっと温かい気持ちで見ることができます。

Auferstehungskirche_bei_nacht1 この写真はWikipedeaで「ロシア正教」を検索すると出てくる写真です。

過酷にも何千万人も粛清したスターリンの、「唯一の良い政策」はロシア正教の教会や修道院の建物は破壊せず、「農民搾取の証拠品」として博物館として保存したことです。

1991年から本格的にキリスト教の復活を認められれ、ロシア人の80%が教会に帰ってきたと報じていました。建物だけで椅子もイコンも無い、ガランとした教会の床に膝突いて拝む人々の群れを見て、本当に良かったと嬉しくなりました。1982年に訪問した中国の瀋陽の荒れ果てた天主堂の中に信者が床に座って祈っていた風景を思いだしました。

とりあえず「まずは目出度い」と思い、ここにロシア人へ神とハリストス様の祝福が有りますようにお祈りを致します。(続く)


琵琶湖付近の風景写真とロシア教会の写真の対比

2009年12月01日 | 写真

琵琶湖のそばに「推薦したいブログ」の一つを書いている ちひろ さんが住んでいます(このページの左サイドバー)。最近の写真から紅葉の風景写真2枚を下にご紹介します。何故か美しい写真です。

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愛用の車も赤です。紅葉の色とよく調和して、写真にアクセントをつけています。

彼女はこの車に乗って、琵琶湖の周辺を丁寧に撮影しています。

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ちひろさんの写真は何回もご紹介して来ましたのでご記憶の方々も多いと思います。

何度見ても心が静かになり、そして生きている喜びが湧いてくるように感じています。長い間、何故そのように感じるか不思議に思っていました。

ところが最近、ロシア正教に興味が湧き、Wikipedeaで「ロシア正教」を検索しました。すると、ロシアの修道院や教会の風景写真がありました。ネギ坊主風の尖塔には違和感がありましたが、ジッとしばらく見ていましたら、心が静まり、平安な気持ちになって来ました。暫くすると、その心の中に、「生きている喜び、感謝の気持ち」が湧いてきました。

下に示した2枚の風景写真を撮った人と ちひろさんの心象風景が同じようなものであったと気が付きました。毎日を感謝しながら活き活き生きる。これが ちひろ さんのブログに書いてあった毎日のモトーです。人間は住んでいる所や信じている宗教が違っても、心の根底には共通した「思い」や「祈り」があることを示しているようです。ちひろ さんの写真の魅力は美しい心の底を風景に託して表しているから魅力があるのかも知れません。皆様はどのように感じられるでしょうか?

今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。藤山杜人

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