定年、退職した男は暇になったので思う存分遊ぼうと思うものです。それと同時に心配してきた子供の教育、就職、結婚などの全てが終りホッとします。子供たちが居なくなり家に残った家族は妻だけです。そこで考えます。どちらが先に旅立つのかなあ?と。心配ご無用です。十中八九男性が先に死ぬものです。ですから残された妻の為にすぐに準備しておくことが5つあるのです。
(1)自分の銀行預金は、キチンと贈与税を支払って妻の口座へ移しましょう。こうして夫婦の貯金や投資信託金などの80%は妻の名義にして置きましょう。なにせ夫の生存確率は20%以下なのですから。貯金通帳などの数も整理して銀行一つと郵便局の2つだけにしましょう。
(2)自分が読んだつまらない本や雑誌を後生大事に本棚に飾って置かないことです。妻が強く興味の示さない本は全て処分しまいましょう。本というものが貴重品だった時代に育った私にとっては決心の要ることでした。しかし処分してしまいました。本棚には妻の趣味の 文学関連の本だけになり、さっぱりした室内風景になりました。
(3)子供が家に来た折に妻をまじえて、何気なく遺産の分け方を明快に言っておきます。日本の法律を説明し、その原則を守るように言います。私が死んだら私の財産の半分は妻へ、残りの50%は2人の子供へ25%ずつです。ヨットは何処かに寄付して処分します。山の小屋は息子へ与えます。しかし金額が少なくとも、時価を見積もり、その半分を息子は支払うべきです。という風に明確に話しておきます。勿論、自分のお葬式は教会で家族だけで簡素にし他人に迷惑をかけないようにすることも頼んでおきます。お墓も近くに準備完了してあります。
(4)自分が居なくても実生活上で妻が困らないように訓練して置きます。料理や家事は問題ありません。しかし独りで外出したり、外食をする訓練をします。そして、賑やかな食卓を作る方法を教えます。家全体の整理整頓には重要です。必要のない物をドンドン捨てるように訓練します。その気で考えてみると、今まで良いと思っていた妻の習性や性格が意外に独り暮らしの障害になります。良く話し合って妻に心の準備をして貰います。
(5)妻には淋しい思いをさせないように準備や訓練をしておきます。以前に書きましたように一時的な夫婦解散をしてそれぞれの趣味を楽しみます。夕方また合流するのです。それともう一つは近所や地域の人々と妻が仲よくなるように勧め、その手助けをすることです。この点だけは私の妻は訓練する必要がありません。昔から近所や地域に多くの友人を持っています。源氏物語の勉強会や現代文学の読書会を何十年もしているのでその関連の友人も多いのです。
さて以上のように書いて見ると私は100%準備完了でないことに気が付きました。70%位は完了していますが、これからもう少し努力しなければいけないのです。何処を努力すべきか明確に分かりました。さて、貴方は如何なご意見でしょうか?
今日は男性である夫が、「先立つ準備」をされるように御祈り致します。 藤山杜人