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(この上と下の写真の出典は、和田義明氏、「和田フォトギャラリー」:http://wadaphoto.jp/index.htm です。撮影者は松本浩文さん:http://wadaphoto.jp/kikou/hogei3 .htm です)
ジット見ていると南氷洋の底知れない静寂が感じれれます。そしてとてつもなくロマンチックが雰囲気が漂っています。そのように見るのは私だけでしょうか?
戦後の食糧難の時代は南氷洋の大型捕鯨母船やキャッチャーボートは日本人の救世主でした。飢えた人々へ美味しい肉を食べさせてくれたのです。当時は牛肉も豚肉も充分にありませんでした。
当時の美味が忘れられないで最近高価な鯨肉を食べみました。その不味さに驚きました。このように書くと必ず、「美味な部分はおいしいよ」と反論する人がいます。
しかし多くの日本人は敬遠します。郷愁で少し食べているだけです。
それが証拠には毎年の鯨肉の消費量は3500トンなのにそれ以上の「調査捕鯨」の捕獲があるので、現在日本の冷蔵庫には5000トンの鯨肉の在庫が貯まってしまいました。
捕鯨のコストが比較的少ない北西太平洋でも獲っています。
一方、コスト高の南氷洋の捕鯨は採算割れなので止める時期に来ていたようです。
「調査捕鯨」とは表向きの名前で、実際は南氷洋でミンククジラを1050頭とナガスクジラ50頭を毎年捕獲して、日本で売りさばいて80億円の経費を賄って、利潤を上げていたのです。こういうのを企業活動と言います。決して調査や研究ではありません。
シーシェパードの妨害が本格的に予想されるのは獲った鯨を母船の後部スロープへ引き上げる作業です。停止してクジラを海面から引っ張り上げるのです。小さな妨害船でもロープをからませれば容易に引き揚げを妨害出来ます。ついでに母船のスクリューにも網もからませられます。
鯨の在庫が日本で余っているからコスト高の南氷洋の捕鯨は止める。明快な経済原理で止めるのです。
シーシェパードの妨害は止めるキッカケになりましたが、新聞は鯨の国内の需給バランスの崩壊が真の原因である事を大きくは報道しません。
シーシェパードが妨害されたから止めたとだけ大々的に報道すれば日本人は「民族食文化」への攻撃だと感情的に怒ります。事実は時代の変化が原因なのです。
マスコミは多くの人々を感情的に扇動し、視聴率を上げ、新聞の販売数を増大します。それが企業としてのマスコミの宿命なのです。
マスコミの扇動に乗ると思わぬ失敗をします。鯨とかシーシェパードだけではありません。対米英戦争の開始の責任の一部はマスコミにあった事を絶対に忘れてはいけません。そんな事を思い出させる今回の「調査捕鯨」の中止でした。それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
藤山杜人