後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

上野の国立博物館での「みちのくの仏像展」を見て来ました

2015年02月03日 | うんちく・小ネタ
仏教に興味のある方は必見の展覧会です。一部屋に19像の展示があり、比較的に小規模な展覧会ですが、道の奥深い青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島の平安時代の素朴な、そして篤い信仰がひしひしと感じられるような仏像展です。
奈良や京都の洗練された華麗な仏像ではありませんが何故か力強く、圧倒的な感動を覚えます。撮影禁止なのでこの展覧会のHP(http://michinoku2015.jp/highlight.html)から4枚の写真をお借りしてお送りします。はじめの写真は今日私が撮った会場入り口です。
二番目の写真は、国宝「薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)および両脇侍立像(りょうきょうじりゅうぞう)」 平安時代・9世紀/福島・勝常寺(しょうじょうじ)蔵 :
東北が誇る国宝仏。土地にゆかりのあるケヤキの巨材を用いて、一木造(いちぼくづくり)の技法で造られています。3体とも圧倒的なボリュームと風格を有し、みちのく仏教文化の繁栄をいまに伝えています。東京での公開は15年ぶりです。
三番目の写真は、重要文化財「薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)」 平安時代・貞観4年(862)/岩手・黒石寺蔵:
鋭い眼差し、厳いかつく堂々とした体つきですが、人々を包み込むような優しさがあります。一木造の像内は刳(く)られ、貞観4年(862)の墨書があります。7年後に東北を襲った貞観地震を知る像で、長く地域の人々に寄り添ってきました。
四番目の写真は、重要文化財「薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)」 平安時代・9世紀/宮城・双林寺蔵/画像提供:東北歴史博物館:
ケヤキの一木から彫りだされた像で、正面からみると衣のしわが細かく表され、軽やかな感もありますが、厚い胸の表現には、平安前期彫刻の力強さがよく表れています。
五番目の写真は、重要文化財「十二神将立像(じゅうにしんしょうりゅうぞう)」(丑神(ちゅうしん)、寅神(いんしん)、卯神(ぼうしん)、酉神(ゆうしん)) 鎌倉時代・13世紀/山形・本山慈恩寺蔵 :
本山慈恩寺は、山形県寒河江(さがえ)市にあります。ここはみやこの影響を早くから受け、仏教文化が栄えました。本像もおそらくは中央の仏師による鎌倉時代の像で、姿は個性にあふれています。東北を代表する十二神将です。









パリ銃撃事件の深い原因はフランスの無神論的パッション・・・時間が経過すると真実が見えて来る!

2015年02月03日 | 日記・エッセイ・コラム



パリの観光名所のモンマルトルにあるサクレクール聖堂とノートルダム寺院の写真を上と下に示します。どちらもカトリックの美しい教会です。多くの観光客はこれらの教会を訪れて「ああ、フランスはカトリック国なのだ」と思います。しかしフランスには伝統的に無神論者や反宗教者が種々の社会問題を起こしている複雑な国なのです。
先般の新聞社の襲撃事件で17名の貴い人命が失われた原因の深層には、フランス人の「宗教たたき」があるのです。その運動が表現の自由という錦の御旗を振り回した事件だったのです。
何時もそうですが大事件の後、適当な時間が経過すると原因の深層が見えて来るものです。
昨日の読売新聞の夕刊の9面に元駐ヴァチカン大使だった上野景文氏がこのフランスの「宗教たたき文化」を明快に説明しています。
パリの銃撃事件の直後、フランスでは370万人以上の規模のデモが燎原の火のように全国に広がりました。各国の大統領や首相もデモに参加したのです。
このデモは「表現の自由」を絶対視して、それを守るためのデモのように見えました。
しかしその深層にはフランスの「宗教叩き文化」が根強く流れていたのです。上野景文氏の解説ではこのフランス特有の思想と社会的運動を明快至極に描いています。
それはさておき、私はカトリックの信者なのでムハンマドを冒涜されたイスラム教徒の怒りと悲しみが痛いほど判るのです。
ところがフランス人の40%は神を信じない無神論者だそうです。上野景文氏は書いています。「ここ10年ほどの風刺漫画の発表は、「無神論者、反宗教主義者による宗教たたき」というフランス的「伝統」が漫画をかりて発現されたと考えれば理解が容易です」と。私も納得しました。
神を信じている人が人口の90%と言われているアメリカは、大統領も国務長官もフランスのデモに参加しませんでした。ローマ法王のフランシスコさんは表現の自由には限度があり宗教の指導者を冒涜すべきではないと言いました。
あらゆる民族の文化には優劣が無いと言いますが、違いがあるのです。その違いを許し合って世界の平和を作っていくのが人間の知恵というものではないでしょうか。お互いに許しあえば、お互いを大切にする心が生まれます。
今回、イスラム国で起きた残忍な事件も時間が経過するとそのいろいろな原因や深層が少しずつ明らかになって来るものと信じています。
現在は犠牲になった湯川遥菜さんと後藤健二さんの冥福を静か祈るにだけです。