後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

季節ごとに咲き誇る花々の大部分は渡来植物の花々

2015年02月24日 | 日記・エッセイ・コラム

写真は奈良県宇陀市室生滝谷にある「花の郷 滝谷」の春の風景です。
(http://www.kintetsu.co.jp/spot/spot_info/spot0000022.html)。
その説明文を転載します。
・・・・・約3万平方メートルの園内に600種100万本の花ショウブが咲き乱れる。広い園内を埋め尽くさんばかりに次々と花が咲き誇る。歩き疲れたとこにあらわれる東屋で休憩しながらのんびりと散策を楽しみたい。季節によって花の見どころが変わります。
さくら 4月上旬~中旬。
しだれ桜、山桜、染井吉野など約620本。
てっせん 5月上旬~6月上旬。
てっせんの花園、花道に150種3000株が咲く。白や淡いピンクから紫、濃い紅色まで色とりどり。園内では特製のお弁当やバーベキューも楽しめる(予約制)。
てっせんがピークをすぎると花しょうぶ、紫陽花の出番になる。
花しょうぶ 5月下旬~7月上旬。
600種約100万本のボリューム。
アジサイ 6月中旬~7月上旬。
花しょうぶ以外にも種々の花で知られる。ことにあじさいは約7000株もあります。・・・・
私は昔から歴史に興味がありました。特に地方、地方の歴史や少数民族の歴史を調べて、独りで楽しんでいます。その延長で動物や植物の進化にも興味があります。そして日本で現在見られる花々の歴史、渡来の歴史にも興味があります。
調べてみると、慶応大学、磯野直秀名誉教授の発表している「明治前園芸植物渡来年表」を見つけました。それは、http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=13125 です。これは完璧な研究論文です。信用出来る内容です。
下のにその一部をご紹介いたしますが、是非原文をご覧下さい。植物学の素人にも簡単に理解出来る素晴らしい文章で書いてあります。
(1)奈良、平安期
梅、菊、ボタン、シャクヤク、アサガオ、シモクレン、ケイトウ、ジュズダマだどなど。
(2)鎌倉期
ナンテン、フヨウ、ムクゲなど。
(3)室町期から安土桃山期
スイセン、ホーセンカ、ジンチョウゲ、ヒガンバナ、ローバイ、ソテツなどなど。
(4)江戸時代(17世紀)
シュウカイドウ、サルスベリ、レンギョウ、ハクモクレン、オシロイバナ、エニシダ、ヒマワリ、などなそ。
(5)江戸時代(18世紀)
キョーチクトウ、ハボタン、ニチニチソウ、など。
(6)江戸時代(19世紀)
ノボタン、ダリア、オジギソウ、コスモス、カンナ、キンギョソウ、スイートピー、パンジー、ラベンダーチューリップ、ゼラニュームなどなど。
この研究論文の圧巻は30ページから39ページにわたる数百種の渡来園芸植物の年号別の一覧表にあります。
慶雲2年(705年)から始まって、明治1年(1968年)のそれぞれの年号に渡来した園芸植物の名前が明記してあるのです。それはこの研究者のライフワークと言っても過言ではありません。
驚くことにわれわれが普通日本古来の植物と思っていた梅も柿も皆渡来植物なのです。
これで調べを終えてしまっては面白くありません。
日本の昔からの文学作品に登場する植物や花を調べるのです。するとありました。
出雲風土記、古事記、日本書紀、萬葉集、古今集、竹取物語、伊勢物語、今昔物語、源氏物語、枕草子、土佐日記、更級日記 などなど、江戸時代、明治維新後の文学作品に登場する植物が一覧表になっているのです。是非、http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/plant/bungakusakuhin/index.html をご覧下さい。
その一例として源氏物語に出て来る植物の一覧表の一部だけを抜粋して下に示します。
「空蝉」 藍  アイ タデ科 渡来植物
「行幸」 あかね  アカネ アカネ科
「朝顔」「野分」 朝顔  アサガオ ヒルガオ科 渡来植物
あさつき  アサツキ ユリ科 渡来植物
「須磨」「梅枝」「浮舟」 葦  ヨシ イネ科
「花宴」 あづさ  梓ミズメ カバノキ科
「蛍」 あふち  楝センダン センダン科
「若菜下」「幻」 あふひ草 葵 フタバアオイ ウマノスズクサ科 加茂葵
「帚木」「乙女」 あやめ 菖蒲 ショウブ サトイモ科
「須磨」「夕霧」 稲  イネ イネ科 渡来植物
「乙女」 卯の花  ウツギ ユキノシタ科
「末摘花」「乙女」「初音」「幻」など22巻に所出 梅  ウメ バラ科 渡来植物
「紅葉賀」 瓜  マクワウリ ウリ科 渡来植物・・・以下省略します。
上に書いたように多くの植物は海を渡って日本に来たのです。 そのことは世界中同じで、植物たちは国々の間を行ったり来たりしたのです。渡り鳥が運んだり、人間が運んだのです。特に美しい花々はその種子や苗を人間が大切に運んだのです。運んだ人の名前は分かりません。しかし外国から運んで来た種や苗が日本の土で花を咲かせたときの感動は大きかったに違いありません。そのようなことを想像するのが楽しいのです。しかし所詮、素人の調べ方なので間違いもあると思っています。
植物や花のことを調べるのは、世の中の政治や国際紛争や経済問題を調べるよりずっと楽しいのです。そうではありませんか?

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)