日本は独立国ですがアメリカ合衆国の影響を深く受けています。日本の政治ではアメリカの政策を考えなければなりません。アメリカは良い意味でも悪い意味でも日本にとって一番重要な国なのです。
今日はこのアメリカの苦しみと輝きを書いてみたいと思います。苦しみの一例はアメリカ社会における黒人、ヒスパイック、アジア人、先住民などへの人種差別問題です。輝きの一例はアメリカが世界の民主主義を守る旗手だということです。
さてどの民族の文化にも明るい部分と暗い部分があります。アメリカの暗い部分だけを強調して書くのは公平ではありません。
アメリカに私は4年間住んでいました。アメリカの良さ悪さを実感しました。
良く書けばアメリカは民主主義の確立とソ連共産主義に勝ち民主主義を守ったことです。
悪い事の一つの例としてに黒人問題だけを取り上げてみます。たしかに公的には黒人差別の撤廃がなされ黒人のオバマ大統領が8年間統治しました。しかし個人的なさまざまな差別感情は残ります。これがアメリカ社会を暗くします。難しい問題です。
そこでまず民主主義と個人の尊厳の確立を書きます。
まず1776年のアメリカの独立宣言を読んでみましょう。
アメリカ独立宣言 (1776年)に書いてあるのです(https://ja.wikipedia.org/wiki/民主主義 )
・・・「われわれは、以下の事実を自明のことと考えている。つまりすべての人は生まれながらにして平等であり、すべての人は神より侵されざるべき権利を与えられている、その権利には、生命、自由、そして幸福の追求が含まれている。その権利を保障するものとして、政府が国民のあいだに打ち立てられ、統治されるものの同意がその正当な力の根源となる。そしていかなる政府といえどもその目的に反するときには、その政府を変更したり、廃したりして、新しい政府を打ちたてる国民としての権利をもつ。」
この民主主義と個人の尊厳の重要性を明記した内容はアメリカ憲法も同じです。
こんな国は欧米では初めてでした。
人民主権を強調し、「すべての主権の根源は、本質的に国民にある」と明記したフランス革命後の憲法は1793年に制定されました。
アメリカ独立宣言 の17年も後だったのです。
そしてヨーロッパでは19世紀以降、社会主義の潮流の中より暴力革命を唱える共産主義(マルクス・レーニン主義)が登場します。
共産主義陣営は資本主義陣営を帝国主義と批判し、資本主義陣営は共産主義陣営の共産党一党独裁を批判しました。
更に第二次世界大戦頃になるとイタリアではファシズム、ドイツではナチズムが台頭し、国家主義や民族主義を掲げて民主主義を批判したのです。
しかし1991年のソ連の崩壊によりアメリカの民主主義が最終的に勝利したのです。
アメリカのフランシス・フクヤマ氏は1991年のソ連崩壊後に、「国際社会において最終的に民主主義が勝利したと述べ、社会制度を巡るイデオロギーの対立が終わり、民主主義が政治体制の最終形態となり永遠に存在し得る制度となった」と高らかに宣言しました。
アメリカの民主主義の勝利でした。アメリカが燦然と輝いたのです。
1番目の写真はアメリカのワシントンDCにある議事堂の風景です。
2番目の写真は民主主義を守るためベトナム戦争で爆弾を投下するアメリカ空軍のボーイングB-52戦略爆撃機です。 ベトナム戦争 は1965年11月 から 1975年4月30日 迄でした。アメリカ側の被害は戦死者が5万8千人で戦傷者が30万人でした。
以上のように血を流しながらもアメリカが輝いたのです。
しかし国内社会では依然、黒人や他の人種の問題を抱えているのです。
私は1960年から二年間、オハイオ州立大学に留学し州都コロンバス市に住みました。1990年、1991年にも住んでいました。黒人問題を実感しました。
バスに乗ると、白人は前半分の席、黒人は仕切りの後ろ。遠慮して黒人の席に座ったら、白人男性が寄って来て、君は前半分に座れと言う。それ以来、白人席の末席に座るようにしました。
コロンバス市の南半分は黒人街、北半分は白人が住む場所と厳格に分かれていた。白人街にある映画館やレストランは白人専用で、黒人はよほどのことがない限り立ち入らないのです。写真にオハイオ州立大学をを示します。
3番目の写真はオハイオ州立大学の中心にある芝生の広場です。
4番目の写真はよく散歩したオハイオ州立大学の構内にあるミラーレイクです。
オハイオ州立大学には黒人学生がいたが、その数は圧倒的に少ないのです。教授は皆白人でした。実験室の掃除人はメキシコ人で、黒人はいませんでした。初めのころは差別に心が痛み暗い気持ちになりました。しかし、少し経つと慣れてしまい、当然と思うようになったのです。怖い変化でした。
このような厳しい黒人差別がキング牧師の公民権運動の結果、公的には完全に撤廃されたのです。バスの黒人席や白人席の区別は無くなりました。
5番目の写真はキング牧師夫妻です。
2009年にはアメリカ史上初の黒人のオバマ氏が大統領に選出され8年間もアメリカ大統領の座についたのです。
汚い黒人街は無くなりましたが白人と黒人の住んでいる地区は分かれています。個人的な感情のレベルでは差別感は残ります。これがアメリカ社会の苦しみです。目に見えない苦しみなのです。
アメリカには、昔アフリカから多数の黒人を奴隷として連れて来た歴史があったのです。
アメリカは民主主義を守る旗手として輝いていますが、一方国内には黒人をはじめ複雑な人種問題を抱えているのです。
さて世界中のどの国々にも明るい部分と暗い部分があります。
今日はアメリカの輝きと苦しみを書きました。アメリカの輝きとは民主主義を守っている旗手です。苦しみとは黒人、ヒスパイック、アジア人、先住民などへの人種差別問題です。複雑な人種問題です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)