後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「カトリック小金井教会の今日のミサの風景です」

2022年02月27日 | 写真
今日は年間第8主日です。カトリック小金井教会の今日のミサの風景です。

3日後の3月2日は灰の水曜日で四旬節が始まります。

灰の水曜日とはその日に神父さまが信者一人、一人の頭に灰をつけてくれるのです。この世の全てのものは土から生まれ、土へ還るということを忘れないように信者の頭に灰をつけるのです。

「灰の水曜日」に続いて四旬節があり、最後に4月17日、日曜日の復活祭がきます。

それらは春先の季節の流れを示す歳時記のようなものです。

今年もそんな季節が巡って来ました。





「忘れ得ぬ孤独死したある友人の思い出」

2022年02月27日 | 日記・エッセイ・コラム
その人の実の名前を知りません。出身地も卒業した学校も知りません。人生のある時期に淡い交際をしただけです。12年前に50歳代で孤独死しました。
しかし私は彼のことを忘れません。今日も思い出したので彼のしみじみとした人生と孤独な死について書きたいと思います。
分かっていることは瀬戸内海のある島の出身だということだけです。しかしなにか深い事情があり故郷には生涯一度も帰りませんした。
彼の孤独な雰囲気を想うと粛然たる思いがします。忘れ得ない人でした。
彼は「ひかるの」という名前を使っていました。実の名は分かりません。
インド、タイ、ブータンなどの南アジアに26年も住みながら、各地の伝統的な染色布や柄織りの布の美しい写真を自分のブログに紹介していました。
「インド ブータン アジアの布 染織美術館」というブログで、URLは、http://asiancloth.blog69.fc2.com/ です。このブログは今でも生きて存在しています。
このブログを発見し、その内容に感動したのは2008年8月のことでした。
染織の写真が美しいだけではありません。「ひかるの」さんが種々の民族を尊敬し何かを学ぼうとしているのです。読んでいて心豊かにさせるのです。
こうして彼とはネットの上で知り合い、その後何度か東京でお会いしました。物静かな人柄でした。その「ひかるの」さんが肺ガンで亡くなる直前にもお見舞いに行きました。亡くなっても12年になります。忘れ得ぬ人でした。

彼はヒンズー語、タイ語、ネパール語、ブータン語などなどが話せました。アジアの各地を訪ね人々と温かい絆を結びました。
「ひかるの」さんはカトマンズとバンコックの両方に家があり26年も住んでいました。アジアの手紡ぎ、手織り布に魅せられて棲みついてしまったのです。
彼は独身でしたが息子と呼んでいた子供が一人いました。バンコックでストリートチルドレンだった少年を引き取り、育て上げたのです。今は大人になってバンコックで働いています。
息子は病身の「ひかるの」さんの最後の世話をあれこれしてくれました。このタイの息子は「ひかるの」さんにとっては唯一人の家族です。しかし最後はその息子とも別れ、東京へ帰って来ました。そして肺ガンで2010年の5月に亡くなったのです。正確な享年は分かりませんがまだ50歳代のように見えました。

生前、彼は収集したアジアの手織り布を多数東京に持ち帰り展示会をしていました。展示会で売ったお金を持ってネパールなどに帰り次の収集の費用にあてていました。私もその展示会を3度ほど訪れて手織り布の美しさに魅了されたものです。温かい心のこもった美しい布でした。
彼はブログでインドやタイやネパールやブータンの市井の人々の暮らしぶりを紹介しています。貧しい人々に心を寄せています。
日本の多くの人々もこのブログに魅せられました。
最後に肺ガンの治療を受けていた東京厚生年金病院には毎日のように見舞客が訪れていました。そして日本にも身寄りの無い彼の世話を親身でする人もいました。みんなネットで繋がった絆だったのです。
2010年の5月、余命を覚ったひかるのさんは病院にお見舞いに来た人や見舞金を送ってくれた人々に手織り布を入れた礼状を送り、静かに旅立って行きました。静かにこの世から退席して行ったのです。

現在考えてみるとアジア諸国や日本での人々との絆は不思議なものです。何か不可思議な力が人々に働いていたようです。
彼は孤独といえば孤独でした。しかし彼を知り合った人は皆彼を大切にし愛したのです。孤独ではありましたが愛の満ちた楽しい日々を過ごしたのです。
「ひかるの」さんのブログ、http://asiancloth.blog69.fc2.com/  から彼の撮った写真を5枚を転載します。

1番目の写真はバンコックにある精霊の樹木です。ヒンズー教の影響を受けた庶民の信仰です。近代的なバンコックにもこんな信仰もあるのです。日本でもよく見られる樹木信仰の風景です。

2番目と3番目の写真はこれはブータンの衣装のキラです。野蚕の絹を手織りにし、草木染にした布です。見ていると暖かい気持ちになるから不思議です。

4番目と5番目の写真もひかるのさんが撮った写真です。



この2枚は肺ガンがちょっと良い時に病院を抜け出して近所の公園を散歩した時の風景です。晩春でした。これらの花々が「ひかるの」さんが見た最後の花になりました。

今日は私の人生のある時期に淡い交際をした友人の思い出を書きました。12年前に50歳代で孤独死した人でした。何故か今日も思い出したので彼のしみじみとした人生と孤独な死について書いてみました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)