連休中、角川映画「キャバレー」(1986年)のDVDを借りてきて見ました。アルト・サックスを吹く大学生(主演:野村宏伸)が、暴力団の息のかかっているキャバレーのコンボの一員となり、組長(鹿賀丈史)との係わりを経ながら成長し、プロの道へ本格的に進んでいくまでを描いています。音楽はジャズが使われていますが、その組長のリクエストで繰り返し演奏するのが「レフト・アローン」です。ジャッキー・マクリーンのアルバムを。
JACKIE McLEAN (ジャッキー・マクリーン)
BLUESNIK (BLUE NOTE 1961年録音)
マクリーンが「レフト・アローン」を吹いているマル・ウォルドロン(p)の「Left Alone」(1960年録音、Bethlehem)は、前に取り上げたことがあるので、ここではマクリーンがブルーズ系統の曲を演奏したアルバムにしてみました。これは、1960年代に入り、彼が従来の演奏からの脱皮を試みようとしていた時期のものではありますが、従来の延長線上に少し新味が加わったという感じです。
メンバーは、ジャッキー・マクリーン(as)、フレディー・ハバード(tp)、ケニー・ドリュー(p)、ダグ・ワトキンス(b)、ピート・ラ・ロッカ(ds)。フレディー・ハバードを起用しているのが目立ち、絶好調の吹奏に加えて、いい曲も書いています。ディスコグラフィーをざっと見る限り、マクリーンのリーダー作にハバードが入っているのはこれだけだと思います。ドリュー(p)もいい曲を提供しています。
曲は、メンバーのオリジナルです。マクリーン作が2曲で、「Bluesnik」、「Goin' Way Blues」、ドリュー作が3曲で「Drew's Blues」、「Cool Green」、「Torchin'」、ハバード作「Blues Function」の全6曲。ハバード作の「Blues Function」は、特徴的ではありませんが、伝統的ないかにもという曲で、自然と笑みがこぼれました。
あまり喧伝されませんが、ハードバップファンには嬉しい作品です。メンバー全員が好調で、とりわけハバードが自在に楽器を操っているように思います。早いテンポの「Bluesnik」、ためを効かせた「Goin' Way Blues」やソロの間をつなぐ間奏も華やかな「Drew's Blues」あたりが面白い。中でも「Bluesnik」におけるマクリーン(as)、ハバード(tp)の爽快な演奏や「Goin' Way Blues」や「Drew's Blues」におけるマクリーン、ドリュー(p)のソロがグルーヴィーでたまりません。
【映画 キャバレー】