安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ジョン・ヒックス MOANIN'

2015-05-24 09:22:39 | ピアノ・トリオ

能勢博著「山に登る前に読む本」(講談社ブルーバックス)を読みました。『登山は体力で、加齢による体力の低下を防止することが、より安全で、充実した登山になる』、また、『この体力の低下が中高年の生活習慣病の根本原因である』とし、トレーニングの重要性を説いています。インターバルを設けたウォーキングがいいようですが、何か運動をやろうという気にさせる、インパクトのある本でした。体力のありそうなピアニスト。

JOHN HICKS (ジョン・ヒックス)
MOANIN' (VENUS 1992年録音) 

   

サブタイトルに、Portrait of Art Blakeyとあって、1990年10月に亡くなったアート・ブレイキーへの追悼アルバムです。ジョン・ヒックスは、シダー・ウォルトンの後任として、1964年にアート・ブレイキーのジャズメッセンジャーズに入り、2年間活動をしており、その後70年代にも一時再加入しています。ヒックスは、1941年12月生まれなので、加入時まだ22歳で、様々なことをメッセンジャーズで吸収したと思われます。

メンバーは、ジョン・ヒックス(p)、マーカス・マクラーレン(b)、ヴィクター・ルイス(ds)。ヴィクター・ルイスは、ウディ・ショーやスタン・ゲッツと活動し、自身のリーダー作もありますが、マーカス・マクラーレンは、ビンセント・ハーリングなどとの録音はあるものの、リーダー作は見当たりませんでした。ヒックスとは、二人と共演歴があり、気心が知れているようです。

曲目は、ジャズ・メッセンジャーズのナンバーです。「No Problem」(危険な関係のブルース)、「Whisper Not」、「Nica's Dream」(ニカの夢)、「Moanin'」、「Blues March」、「A Night In Tunisia」(チュニジアの夜)。有名ジャズオリジナルばかりを全てピアノ・トリオで録音する企画は、日本のヴィーナスレーベルの提案かもしれませんが、結果的によいアルバムが残りました。

かなり楽しめるピアノ・トリオ作品。ジョン・ヒックス(p)は、初期は力演型ですが、このころになるとゆとりも出てきて、エンターテイメントさもあります。「No Problem」は、ちょっとテンポが早くて小気味よく、テーマ部における左手の動きが心地よい。「Nica's Dream」は、ファンキーかつエキゾチックですが、ヒックスのテーマの弾き方は印象に残ります。「A Night In Tunisia」では、流れるようなヒックスのソロが素晴らしく、マクラーレン(b)、ルイス(ds)も活躍します。 

【能勢博著「山に登る前に読む本」(講談社)】

   

能勢博さんは、信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学講座教授です。