先週、東京上野のビジネスホテル「水月ホテル 鴎外荘」に泊まりました。このホテルは、敷地内に明治の文豪・森鷗外の旧居を保存していて、名作「舞姫」を執筆した部屋や庭があり、部屋は「舞姫の間」として一般にも利用されています。せっかくなので、建物正面から写真を撮ってみましたが、よく保存されています。鴎外はドイツへ留学して、その体験をもとに小説を書いています。ドイツ録音のアルバムです。
OSCAR PETERSON (オスカー・ピーターソン)
REUNION BLUES (MPS 1971年録音)
オスカー・ピーターソン(p)は、かなりドライヴするけど、ブルージーさはそう強くないので、そこにミルト・ジャクソン(vib)が加わると、いわゆるグルーヴィーで最高のモダンジャズが出来上がります。リユニオン・ブルースというタイトルは、「Very Tall」(Verve)という作品を二人が以前に作っているので、再び邂逅したといった意味でしょう。
メンバーは、オスカー・ピーターソン(p)、ミルト・ジャクソン(vib)、レイ・ブラウン(b)、ルイ・ヘイズ(ds)。オスカー・ピーターソンは、バリバリと弾きまくっている曲もありますが、ミルト・ジャクソンやレイ・ブラウンをかなり立てていて、二人をフューチャーする場面が目立ちます。録音がよくて、ピーターソンの粒立ちのよい音の素晴らしさがよくとらえられています。
曲が面白いです。ローリング・ストーンズのヒット曲「Satisfaction」、ベニー・カーター作「Dream of You」、ミルト・ジャクソン作「Reunion Blues」、ライオネル・ハンプトン作「Red Top」に、スタンダードの「Someday My Prince Will Come」(いつか王子様が)、「A Time For Love」、「When I Fall in Love」(恋に落ちた時)の全7曲。ストーンズのヒット曲のジャズ化には、初めてこのアルバムを聴いた時にはびっくりしました。
ハードなスイングや室内楽的なからみ、そしてソフトなバラードまで、引き出しの多さと柔軟性があるのは、この顔合わせだからでしょう。ストーンズの「Satisfaction」は、アップテンポで、両手によるユニゾンも軽々とこなしていくピーターソン(p)の 高速ソロに興奮させられます。ノンビートで出て、途中から軽妙にスイングする「A Time for Love」、ジャクソン(vib)の書いたテーマやソロがグルーヴィーで楽しさ溢れる「Reunion Blues」、レイ・ブラウン(b)がロマンチックに旋律を綴る「When I Fall in Love」などと捨て曲無し。
【森鴎外居住跡】
水月ホテル鴎外荘ホームページ:ohgai