12月3日(日)付け日本経済新聞のThe STYLE / Culture欄に、名作コンシェルジュとしてカーティス・フラー(tb)の「ブルースエット」がとりあげられ、このアルバムが村上春樹さんの小説「アフターダーク」に登場することが記されていました。さらに収録曲のベニー・ゴルソン作「Five Spot AFter Dark」も文中に出てくるというので、興味が湧き文庫本を買ってきました。読みながら聴いたのはもちろん「ブルースエット」。
CURTIS FULLER (カーティス・フラー)
BLUES-ETTE (SAVOY 1959年録音)
ロングセラーを誇るアルバムで、ジャズファンなら知らない人はいないかもしれません。CDで聴いていますが、大学に入りたての頃、国内盤レコードを買い求め、今もそれを持っています。1曲目にベニー・ゴルソン作の「Five Spot After Dark」が収録され、口ずさめるメロディが親しみを感じさせます。
メンバーは、カーティス・フラー(tb)、ベニー・ゴルソン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ジミー・ギャリソン(b)、アル・ヘアウッド(ds)。1958年から1年契約でジャズクラブ「ファイブ・スポット」に出演したフラーとゴルソンは、リズムセクションを適宜変えながら、新しいサウンドを探究し、その成果がこのアルバムだと言われています。トロンボーンとテナーサックスによるサウンドは、新鮮さもあり、懐かしさも感じます。
曲は、ベニー・ゴルソン作「Five Spot After Dark」と「Minor Vamp」、カーティス・フラー作「Blues-Ette」と「Twelve-Inch」、スタンダードの「Undecided」と「Love Your Spell is Everywhere」の6曲。曲名を見ただけでメロディーが頭の中で流れ出す曲ばかりですが、とりわけ、ウキウキするテーマの「Five Spot After Dark」と哀愁漂う「Love Your Spell is Everywhere」には魅了されっぱなしです。
二つの管楽器によるハーモニーが面白く、フラー(tb)はじめ各人のソロも快調です。ベニー・ゴルソン(ts)は、ゴリゴリとしたしつこいソロを吹いているので、以前はそれを敬遠気味だったのですが、最近導入したCDプレーヤー「パイオニアPD-70AE」で聴いてみたら、うるささが低減して聴こえ、いくらか認識を改めました。「Five Spot~」や「Love Your Spell~」に加え、リズミックな「Undecided」やフラーをはじめ迫力のあるソロが聴ける「Minor Vamp」なども面白い。アルバム全体にわたるフラナガン(p)の絶妙なプレイにも癒される愛聴盤です。
【2017年12月3日付日本経済新聞抜粋】
【村上春樹著「アフター・ダーク」(講談社文庫)】