図書館で借りてきたジャズCDの紹介本ですが、独自の視点があって、そういう箇所は面白く読みました。著者の岩浪洋三さんは、雑誌「スイングジャーナル」の編集長を経て1965年にフリーになり、雑誌や新聞への寄稿やレコード・CDのライナーノート執筆などジャズ評論活動をされた方です。
岩浪さんは持論をあちこちで書いていて、次のような趣旨だったと記憶しています。
・アート・ペッパー(as)は、復帰前より復帰後の年齢がいったときのプレイの方がよい。
・テナーサックスは、アーネット・コブ、ジミー・アモンズら、黒人のブローする演奏(テキサス・テナーと呼ばれています)がよい。
・日本では受けないけれど、オルガンジャズももっと重視すべきだ。
選定された200枚のCDについては、名盤も入っていますが、選定に当たり上記にあるような観点が反映されているのが特徴です。また、ライブにもよく出かけミュージシャンとも親しかったようなので、その際のエピソード等も書かれています。未聴で聴いてみたいアルバムを記します。
(モダン・ジャズ)
クラーク・テリー「ポートレイツ」
ラリー・ヤング「テスティファイング」
ジュニア・マンス「グルーヴィン・ブルース」
フランク・ロソリーノ「フリー・フォー・オール」
(ヴォーカル)
カサンドラ・ウィルソン「テネシー・ワルツ」
黒岩静枝「アイム・ヒヤ」
ダイアン・リーヴス「サラ・ヴォーンに捧ぐ」
サラ・ヴォーンについての『ジャズ歌手としてのうまさはぴか一」、また、黒岩静枝についての『何を歌ってもジャズに、ブルースになる』という記述には、共感しました。