コーヒーは大好きで、一日に少なくとも4~5杯は飲んでいます。ジャズ喫茶でも珈琲を飲むことが多いのですが、焙煎とはどういうものかなど、ほとんど珈琲について知らないので、この本を読んでみました。
著者の旦部幸博さんは、滋賀医科大学講師で、医学博士。専門は、がんに関する遺伝子学、微生物学ですが、その傍ら人気コーヒーサイト「百珈苑」を主宰し、自家焙煎店や企業向けセミナーで、コーヒーの香味や健康に関する講師を務めている方です。
(大まかな目次)
第1章 コーヒーってなんだろう?
第2章 コーヒーノキとコーヒー豆
第3章 コーヒーの歴史
第4章 コーヒーの「おいしさ」
第5章 おいしさを生み出すコーヒーの成分
第6章 焙煎の科学
第7章 コーヒーの抽出
第8章 コーヒーと健康
(感 想)
コーヒーに関する本は、たくさんありますが、この本の特徴は「科学の視点で見たコーヒー」について書かれていることです。あわせて、コーヒー全般にわたる知識を得ることができます。特に、著者の専門である微生物学の応用でもある「第5章 おいしさを生み出すコーヒーの成分」や「第6章 焙煎の科学」は、知見に基づいた記述で、ことに興味深い章です。
「第7章 コーヒーの抽出」は、自分でもやるので、より身近な章です。ネルドリップとペーパードリップは、日本で発展して使われている方法だということを初めて知りました。さらにダッチコーヒー(水出しコーヒー)は、日本の発明で京都生まれだということも初めて知り、オランダだと思っていたので、びっくりしました。
著者の旦部さんは、コーヒー店主との交流が深く、一緒に実験的なことも行っています。特に、自家焙煎店「カフェバッハ」の田口護氏の名前が挙げられていて、コーヒー研究の大先輩と記されています。大学や研究所ではなく、業界の実践している方の名前がでてくるところは、この本に親しみや説得力を与えています。
写真や図版も使われて、わかりやすいように工夫もしています。これは、「コーヒーの花」の写真。
イエメンが原産地だということも初めて知りました。栽培に関する記述もあり、産地の話とともに面白いものです。
裏表紙です。