友人と二人で軽く飲みながら仕事関連の情報交換を行ってきました。飲んだ場所は長野駅前の居酒屋「白木屋」です。ジャズが流れていました。ドトール・コーヒー長野駅前店のBGMもジャズです。地方都市でもピアノ・トリオやコンボの演奏が日常空間で聴けます。BGMではありますが結構なことです。白木屋でちょっと耳にしたアルト・サックスの音色がよかったです。
BUD SHANK (バド・シャンク)
BUD SHANK QUARTET (Pacific Jazz 1956年録音)
このアルバムは西海岸ジャズの傑作としてよく知られています。明るいムードがジャケットから伝わってきます。シャンクの音色、フレーズともにブルージーというより、明るくカラッとしていて、力強いものです。当時の西海岸ジャズを引っ張った一人ですが、本年の富士通コンコード・ジャズフェステイヴァルに来日するなど変わらぬ活動をしているのは驚異的です。
ワンホーンアルバムで、リズムはクロード・ウイリアムソン(P)、ドン・プレル(B)、「チャック・フローレス(ds)が担当しています。収録曲中ハイライトなのは、「WALKIN'」です。真っ向フォービートで勝負しているのが潔いし、リズムとフレーズが一体となってスイングして気持ちのいいことこの上ありません。「Bag of Blues」もスイングしています。アルトで叙情的なのは「All This and Heaven Too」におけるプレイです。
そして「Nature Boy」、「Nocturn for Flute」のフルート・プレイでは、打って変って、Shankのロマンティックなプレイが楽しめます。ジャズ・フルートの分野は、技術的にクラシックの奏者にかなわない状態が続いてきました。例えば、ジャン・ピエール・ランパルのアルバムを聴けば、その豊麗な音色にまず耳を奪われます。シャンクのフルートの鳴りそのものは、すごいというレベルではないと思いますが「Nature Boy」では曲の持つムードを表現していると思います。
スタジオ・ミュージシャンとして生計を立てていた西海岸の音楽家はマルチリード奏者が多く、多様な音色をジャズに持ち込んだことをもっと評価されていいと思います。特にフルートは、フランク・ウェス、ジェローム・リチャードソンなどビッグ・バンド系を除くとなかなかいません。日本のジャズ・ファンにフルートをはじめ多彩な音色を浸透させたのも、シャンク、バディ・コレット、ボブ・クーパーら50年代西海岸の奏者たちのお陰です。