サイトウ・キネン・フェスティバルが今年も長野県松本市で開催されます。高校時代の友人が、同フェスを主宰している、サイトウ・キネン・財団に今年から務めていて、チケットの販売促進も行っています。販売は6月7日からですが、できる範囲で協力するつもりです。小澤征爾指揮の「幻想交響曲」やオペラの「ファルスタッフ」はよさそうだし、ジャズのマーカス・ロバーツ・トリオも気にかかります。どれに行こうか迷っていますが、まずは財布の中身と相談です。フェスティバルにおけるライブ録音。
BENNY WALLACE (ベニー・ウォレス)
IN BERLIN (enja 1999年録音)
定価1000円(税抜き)程度の廉価盤CDがこのところいろいろと出されていますが、有難いことに、enjaレーベルのものが4月に30タイトル発売になりました。enjaは、設立が1971年で、比較的新しい録音が多いだけに、廉価で再発になるとは思っていませんでした。とりあえず聴きたかったものを5枚購入しましたが、その一つがベニー・ウォレスのこのアルバムです。
メンバーは、ベニー・ウォレス(ts)、ジョージ・ケイブルス(p)、ピーター・ワシントン(b)、ハーリン・ライリー(ds)。1999年11月6日、ベルリン・ジャズ・フェスティバルにおける実況録音。ベニー・ウォレスは、荒々しいブローで、音の固まりを吹くテナー奏者といった印象があったので、LPを一枚持っているだけで、ほとんど聴いていませんでした。しかし、これは曲目にスタンダードが多いことも幸いして、僕にも楽しめる魅力的なアルバムでした。
曲はスタンダードが、「It Ain't Necessarily So」、「I Love You, Porgy」、「It's Only A Paper Moon」、「Someone To Watch Over Me」の4曲、ウォレスの作が、「It Has Happened To Me」(「It Could Happen To You」のコード進行)、「Thangs」(「All The Things You Are」のコード進行)、「At Lulu Whites」の3曲。ウォレスのオリジナルといっても、スタンダードのコード進行を借りていたり、「Thanga」のイントロは、「All The Things You Are」と同じものなので、1曲を除き、どこかで聴いたことのあるメロディが流れます。
ベニー・ウォレス(ts)のハードな深い音色によるスタンダードが楽しめます。また、ジョージ・ケイブルス(p)がスピード感に満ちたプレイを行っています。「It Ain't Necessarily So」や「Someone To Watch Over Me」などにおけるウォレスの吹奏は、テーマをストレートに吹いて、その美しさを際立たせ、ソロになると一転して個性的で強烈になります。この落差も悪くありません。お祭りに相応しくカリプソ調の「It's Only A Paper Moon」では、ケイブルス(p)の素晴らしくスイングして爽快なソロ、ライリー(ds)のメロディアスで洒脱なソロと、リズム陣がかっこよくて痺れました。
【2014サイトウ・キネン・フェスティバル松本 パンフレット】