9月の3連休に、いくつかDVDを見ました。中では、スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の「ターミナル」が面白かった。パスポートが無効になり空港のターミナルに閉じ込められてしまった男と空港内の従業員との交流や恋模様を描いた内容ですが、その男がニューヨークに来た目的は、写真「 A Great Day in Harlem」に写っているジャズミュージシャン57人のうちまだサインを入手していないベニー・ゴルソンに会うためでした。ベニー・ゴルソンのアルバムです。
BENNY GOLSON (ベニー・ゴルソン)
FREE (CADET 1962年録音)
ベニー・ゴルソンは、1929年1月25日の生まれなので、今年で87歳になりますが、元気で活動を続けているのはなによりです。モダンジャズを豊かにした一人であり、作曲家、編曲家としての足跡はたいへんなものがあります。もちろん、テナーサックス奏者としても多くの作品を作っていますが、彼のサックスとリズムセクションというカルテットで録音したものは少ないです。
メンバーは、ベニー・ゴルソン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ロン・カーター(b)、アート・テイラー(ds)。トミー・フラナガンは、このレーベルでは、アート・ファーマーの「ART」でも好演をしていて、ここでもアルバムの価値を高める素晴らしいプレイを行っています。
曲は、ゴルソンのオリジナルが、「Just By Myself」と「Shades Of Stein」の2曲。ピアニストのウィル・デイヴィス作「Sock Cha Cha」、スタンダードの「Mad About The Boy」、「My Romance」、「Just in Time」の全6曲。バラード系の「Mad About The Boy」や「My Romance」が選曲されているので、通しても聴きやすそうです。「Sock Cha Cha」は、その昔ラジオ番組のテーマだったので、ご存知の方が多いかもしれません。
ベニー・ゴルソン(ts)は、アップテンポでは、ゴリゴリと吹きますが、「Sock Cha Cha」とバラード2曲は抑え気味に優しく吹いていて情緒が醸し出されています。「Sock Cha Cha」は、アート・テイラー(ds)の出すラテンリズムに乗った軽快で楽しい演奏で、ゴルソン(ts)とフラナガン(p)のソロがメロディアス。「Mad About The Boy」と「My Romance」は、纏綿としたバラードですが、フラナガン(p)のソロが美しく惚れ惚れします。「Just In Time」では、うねるようなゴルソンのソロに加え、テイラーとの間でエキサイティングなやり取りがされるなど豪快で、これも悪くありません。
【映画「ターミナル」】
映画の最終場面で、サインを頼むシーン。演奏に入るので、あとでということで、主人公(トム・ハンクス)がゴルソンの演奏を聴く場面になります。
ゴルソンの自作「キラー・ジョー」が演奏されます。
ベニー・ゴルソンのサイン。