Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

「ヒノマル官僚」の不在

2008年08月10日 21時39分01秒 | Weblog
 「官僚との死闘700日」には、国益より省益を優先させる「抵抗勢力」としての官僚が実名で登場する。特に、坂篤郎官房副長官補と田中一穂総理秘書官は圧巻である。何しろ、首相の国会答弁を捻じ曲げたりするのだから(156p~)。
 「抵抗官僚」が猛烈に反対したのは、従来の省庁別再就職斡旋の廃止である。ここに目をつけたのは平凡だが的確である。というのも、「再就職斡旋こそが、役所に対する忠誠心の源泉になっているからだ」(165p)。
 官僚機構にとって、「若さ」は生命線といってよい(このことは、大手渉外事務所でも同じである)。平均睡眠時間3時間で毎日働くためには、とにかく若くなければならない。フルに働けるのは30代までであり、何とか働けるのは45歳くらいまでである。だから、経済産業省などでは、事務次官候補の1~2名を残して、全て40代で首を切る。その代わり、特殊法人の理事などのポストをあてがう。いわゆる「再就職斡旋」である。
 もしもこの「再就職斡旋」が廃止されたら、若手官僚は命を削って働かなくなりかねない。かといって、定年まで職を保障すれば、官僚機構は「高齢化」に陥り、生産性が著しく低下するだろうし、昇進スピードが遅くなる。転職率も高まるだろう。
 だが、省益よりも国益を第一に考える「ヒノマル官僚」を再生させるためには、省庁別再就職斡旋制度は解体すべきなのだ。こうした意味で、安倍政権はいい仕事をしたのだと思う。
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この国を滅ぼすもの

2008年08月10日 13時52分47秒 | Weblog
 官僚との死闘七〇〇日は、ものの観方がやや単純すぎるきらいはあるものの、読むべき本の1つである。
 ジャーナリストでありながら安倍政権の中枢に食い込んだ著者の目指すものは、たとえば、「税収が増えたら使ってしまえ」という官僚たちによる「闇の権力構造」を解体することである。
 ここで、必ずしも明示的ではないものの、著者には、官僚がこの国(国民)を食い物にしているという認識を前提として、自らが国民に代わり、悪しき官僚たちに制裁を加えるという意図があるものと思われる。
 だが、ここで見失ってならないのは、この国を滅ぼすものは、何も官僚に限らないということである。そのことを確認したければ、ちょっと東京の街を歩いてみるとよい。
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