最終戦争論(石原莞爾)
この人の背景に日蓮信仰があったことは知らなかった。何しろ、彼は、日本は熱帯文明と寒帯文明を止揚する「第三文明」を創造しうる力を持つ唯一の民族だと主張している(p80)。
さて、彼の「最終戦争論」の根拠は単純で、一夜にして相手国をせん滅する兵器と、全世界の至るところに迅速に出撃可能な飛行機があれば、戦争は短期終結型の「決戦戦争」となると同時に、武力による世界統一が実現されるというものである(p32~)。核兵器の出現を予言したところは評価すべきだが、彼の読み誤りは、「最終兵器」が登場しても、「最終兵器」を手にした国同士の間では、戦争は「持久戦争」にとどまるということである。このことは、例えば、冷戦時の米ソ、現在の北朝鮮を見れば分かる。
それにしても、この程度の人間が関東軍の参謀だったというのには、今更ながら驚く。軍人にも最低限の頭脳は必要だ。