香りを瓶につめて

香りが漂いだしてから頃合いを見計らっていた。
そして天気の良い今日の朝、収穫に繰り出す。
キンモクセイの花。近くに群落がある。
いつ見てもこの花はかわいく良い香り。

　　　　　　　

心で「花を頂きます」と挨拶して収穫開始。
笊にキッチンペーパーを乗せてそこに摘んでいく。
一つの枝から少しずつ、一本の木からも少しずつ。木をめぐって集める。
蜘蛛の巣にひっかかったりする。

　　　　　　　

日差しの下で輝くオレンジと香り

　　　　　　　

帰ってゴミを取り除き、瓶に入れる。少しずつ丁寧に。

　　　　　　　

そこにホワイトリカーを入れる。氷砂糖はなかった、この前の梅ジュースと梅酒で使ってしまったらしい。中ザラメでいいか。
ホワイトリカーを入れて蓋をして何度もひっくり返したりゆすったりする。中の空気を取り除くため。酸化して腐敗しないように、ここは丁寧に。
本当はもう少し花が多い方がいいと思う。でも香りが強いのでこの量でも行けると思う。
そんなにたくさん摘んでしまいたくない。香りはみんなの物だし。
いろいろな花実酒を作るけれど、金木犀のそれは一番のお気に入り。安いホワイトリカーで作ったとは思えないほど芳醇なお酒になる。

　　　　　　　

ラベルを貼る。
この香りを嗅ぐと思い出す。私と夫が出会った頃の事。
それまでろくにしゃべったことなくて、いきなり「お付き合い」から。
この週末でなんと３０年経つ。

　　　　　　　

今、息子が修学旅行に行っていて、その前はカップルがいっぱい出来たらしい。
昔もそうだった。私はそれとは関係なかったけど。
そしたら彼の言うには「リアじゅうなんて、みんな爆発すればいいねん！」らしい。
「リアじゅう」とはリアルな暮らしの中で充実していると言う意味で、カップルになっている人たちの事を言うらしい。（わかりにく！）それと対で「ネトじゅう」ってのもあって、それはネットの暮らしで充実している人の事らしい。（そりゃ昔はなかったわ。）
それから「爆発」は喧嘩して別れる事みたい。聞いただけだと危険な感じだ。ゲームで簡単に攻撃したり爆発したりするから、きっと彼らには違和感がないんだろう。
これは娘が解説してくれた。

「教室とかでイチャついてたら、めっちゃ腹たつわー。」；息子。
そりゃそうやな。そんなことはせーへんかったよ。うちらは。一緒に学校から駅まで毎日帰るだけ。今思ったらあれって付き合ってるうちに入るかどうかあやしいくらい。ほどよいセーフティーなお付き合いやったな。
「そう言えば修学旅行カップルって、修学旅行終わったらすぐにわかれるってパターン多いなあ。」；娘
「でもあんたもし今彼女いたら、そんな事言わへんのちゃうん？」って言ったら息子は「そりゃそうやん！」って言ってた。ゲンキン。

だからそれからいうと私はリアじゅう歴３０年だ。めでたい。
娘と「でも彼氏や彼女がいたり結婚してるってだけで充実してるかどうかは別やなあ。」
と話す。そうだと思う。一緒にいるっていろいろある、それも充実の証か。

このお酒は何年でも置いて美味しくなるので、またずっと後に思い出を語りながら（？）ちびちび飲みたい。