明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



頭部ができてしまえば、バランスだけ確認しておけば何も参考にすることなく一気に作る。今回は脚は写らないので面倒な靴まで作らない。こういうところは被写体の制作者と撮影者が同一ならではである。他の人に撮影してもらう場合は、こうはいかない。 編集者の意向で社長が偉そうに見えないように、ということで、さりげなく立たせようと思っていたが、配置するシミュレーションとして、軍服姿の森鴎外をあてがっていた。この鴎外が棒立ちで飛び切りムスっと不機嫌そうである。その影響があったのかどうか、若干動きを付けたくなりポーズを変更した。 写るところしか作らないということは締め切りがある場合、おおいに助かるわけだが、反面そのまま展示できる状態の作品が残らない。肝心の頭を引っこ抜いて、たとえ将軍様の胴体だろうと、どうにもしようがないので捨ててしまう。

銀座の伊東屋に絵の具を買いに行き、山野楽器でドラムのステイックを買う。今回3人でやっているビートルズの『ゲットバック』だが、他の2人が遠慮がちで、私が黙っていると何をやるか決まらない。Yさんがビートルズをやりたいのは判っていたので、中学生の時演奏した覚えがあって提案したのだが、改めて聴いてみたら、細やかな工夫をしていて難しく、あの頃は何も聴いていなかったことが判った。当時私はベースを担当していたが、メンバーはやはり3人で、誰もやろうとしないので、ドラムまでやることになった。歴史は繰り返され、数十年ぶりに私がまたやることになった。当時リードギターのNが映画で観たリンゴスターと私の叩き方が違う、というので喧嘩になったのを想いだした。「だったらお前やれよ」。馬鹿々しいことほど想い出は楽しい。Nが数年前に亡くなったのが残念でならない。

去の雑記

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