森鴎外も『病院横町の殺人犯』としてドイツ語から翻訳している『モルグ街の殺人』は、エドガー・ポーの入るスペースを空けて1カット完成した。この作品のビジュアル化としては、結局絵画になるわけで、本物のオランウータンを使った作品は今のところ見当たらない。映画ならクリント・イーストウッド主演作で、達者な演技を見せたオランウータンがいたから、ありそうなものだが今のところは人間が中に入った着ぐるみしか見ていない。1932年のベラ・ルゴシ主演作では、演技部分は着ぐるみで、アップの部分でちらっと映る場面で類人猿を使っているが、チンパンジーであろう。 ボルネオのジャングルで生け捕りにされたオランウータンは、パリに連れてこられるが、船員の宿泊先から逃げて事件を起こす。船員が髭を剃るのを見ていたことで凶器に剃刀を使うことになる。つまり“猿真似”がポイントである。よってどうしても剃刀を持たせない訳にいかない。この段階で見ていただいた方は、最近の女子高生が起こした事件からちょっと際どいですね。というご意見も。私は襲われるのは娘を想定したが、作中の母親の殺され方を知っている人はなおさらであろう。確かに写真はどうしても生々しくなってしまう。だがしかし、生々しいといっても所詮犯人はエテ公である。 明日からようやくエドガー・アラン・ポーの全身を作ることに。
※世田谷文学館にて展示中。
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