最近は背景を先に作っておいて、人物像を後で作る、ということが多いせいもあり、また犯人がオランウータンだった、という無茶な場面を作りたくて我慢できず、エドガー・ポーの全身像を作る前に『モルグ街の殺人』の背景を作ることにした。 先日ネットで、スピルバーグが『ジェラシックパーク』のセットの恐竜の死体の前で撮った写真を、誰かがジョークで捕らえた獲物とともに記念写真の男、みたいにネットに流したところ、それを真に受けた馬鹿が世界中で激怒したらしい。つまり恐竜が絶滅したことを知らず、まだ生きていると思い込んでいる人間が大勢おり、動物愛護の観点から怒っているのである。あんたの映画は二度と観ない、という人間までいるというから、つくづく世界にはおっちょこちょいが多い。 有名なネッシーの写真は、何年か前、捏造した老人が名乗り出たが、小学生の私でさえ、波紋が大きすぎて小さな物にしか見えなかった。しかしネッシー探検隊を組織した後の都知事までいた始末である。いやいいたいことはそういう事ではなかった。 オランウータンが女性の首を押さえつけ、カミソリを振り上げている場面を作ったが、実際観たオランウータンは、とてもそんなことをするような動物に見えず、フィリピンパブのフィリピーナに“苦労ガ足リナインジャナイ?”と評されてしまった私の顔より、よっぽど様々な物が滲み出た貫禄をそなえていた。ゆえに作っていて少々心苦しいのである。よってクレームはエドガー・ポーの墓に向かっていって欲しいという話である。
※世田谷文学館にて展示中。
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