寝苦しい中久しぶりに夢を見た。ここ数ヶ月、出かけるときはエドガー・ポーの文庫本を常に携帯している。すでにボロボロになり、1冊買い足したくらいである。おそらく房総の海岸であろう。晴天の下、よせばいいのに『アッシャー家の崩壊』を読んでいる。するとラジカセを大きな音で鳴らし、ツイストを踊っている連中がいる。夢なので、その一団が何かの台に乗って引っ張られるように近づいてくる。その中にカトリーヌ・スパークの姿を見つけ唖然とする私。すると彼女がこちらに歩いてきて、ポケットの中に入っている首を見せて。とまっすぐ腕を伸ばし、手のひらをこちらに差出すではないか。そりゃスパーク嬢の要望にお答えしたいのは山々であったが、ツイストが鳴り響く健康的な晴天の海辺で、ポケットから出てくるのがエドガー・ポーで良いのであろうか?彼女と見つめあったまま、ポケットの中のポーを握り締め脂汗の私。 ただ今私の悪い癖が出ている。随分時間がかかったが、ようやく完成したポーの首がある。後は一気に全身を作るだけで、こんな楽しいことはない。この快感のために作っているといっていいくらいである。なのにそれを前に、わざわざどうでもよいTVを見たりネットを眺めたり、飲酒してしまったりして自分を焦らしている。ご馳走に食らい付く前に、快感を増す為もう一腹減らしするかのように。しかし、カトリーヌ・スパークに詰め寄られるようでは、もう限界であろう。 まさにこんな場面であった。
※世田谷文学館にて展示中。
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