彫Sより背中に唐獅子牡丹を背負い、肩から上腕部まで墨が入った状態の三島由紀夫を受け取る。 出来はというと想像以上である。時間さえあればもっと手を加えたいし、リアル感を追求するため、色々やってみたかった。というが、充分である。高倉健の昭和残侠伝シリーズは何作もあり、おおまかな印象でしかないが、小さな人形に描くという条件の悪さを差し引くまでもなく、こちらの方がカッコ良いと思った。見れば誰が描いたか判るらしく、そういったら本人は.謙遜していたが。 これでようやく同じ姿勢で待ち続けた、着流しの四人衆の元に合流することができる。『唐獅子牡丹』と名付けよう。 三島がもっとも好きな制服は金ボタンがならぶ白いエレベーターボーイのものだった、と中井英夫がいっている。そしてあの愛らしさがかけらもない、と盾の会の征服を批判している。エレベーターボーイが愛らしいかはともかく、私も最後の姿があの制服か、とは思う。 あのバルコニーには、大映のからっ風野郎で三島が演じたチンピラヤクザの格好で、すでに立たせている。あの建物はコンパクトに改造されていて、当時を再現するのは簡単ではない。そこで実はすでにあのカットから三島をどかした背景をすでに作ってしまっている。唐獅子牡丹に自衛隊員が唖然として野次が止んでしまうようなカットができないだろうか。こちらは『昭和残侠伝』と名付けよう。しかし担当のNさんには作品数を守るよう釘を刺されているのであった。
『特別展 深川の人形作家 石塚公昭の世界』
フェイスブック『石塚公昭の世界』
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特別展『百年目に出会う 夏目漱石展』神奈川近代文学館 漱石像出品
『タウン誌深川』“常連席にて日が暮れる”第4回