明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



死の直前篠山紀信に、魚屋や体操選手、様々なシチュエーションで死んでいる所を撮影させたり、映画でチンピラヤクザや剥製にまでなっている三島である。三島本人にウケようといっても簡単なことではない。そう考えると、三島が間違いなくやりたくてやれなかったのが刺青である。たしか澁澤龍彦が学習院に通う息子の親が刺青いれるわけにはいかない、といったと書いていたような気がする。 刺青の件では事件の直前、三島は二人の刺青師に打診しているが、初めから篠山撮影との撮影用だったのか、一人目の時は本当に入れるつもりでいたが間に合わないことを知り、二人目には撮影用といったのか、そこが判然としない。もし本当に入れるつもりであった場合、打診する直前隊員とサウナで打ち合わせしている。つまり背中に何も入っていないところを見せておいて、バルコニーの演説の後、脱いだとたん森田以下、初めて目にする唐獅子牡丹。となったかもしれない。事件直後に『男の死』が出版されて、世間その他、笑っていた連中が驚くことを想像していた三島ならやりかねないだろう。もっとも森田はただでさえグサグサと介錯に失敗しているから、手元がさらに狂ったかもしれない。

特別展『百年目に出会う 夏目漱石展』神奈川近代文学館 漱石像出品

深川の人形作家 石塚公昭の世界展

『朗読、音楽、スライドで味わう 乱歩と鏡花』予約受付中

『タウン誌深川』“常連席にて日が暮れる”第4回

 

 



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