グループ展でご一緒した白石ちえこさんの作品は、アンダー気味の画面から漂う余韻のおかげで、写っていない物まで見えてくる。常に何か引くように心がけていると聞いたが、そのため観る側に想像の余地を生じさせるのであろう。これは私には全くできない芸当である。頭に浮かんだ物を取り出してやっぱり在ったな、と確認するのが私の制作の原点だが、取り出しそびれることが耐えられないのである。よってもっともっとと引くどころか足してばかりである。結果余韻などという高級な物は漂うはずもないが、その代わり方法こそ奇妙かもしれないが、私の頭に浮かんだそのまま見たまんまである。外側の世界にレンズを向けず、眉間にレンズを当てての念写が理想だが、そんな能力がないのでこんなことをしている。などといっていたから、それで良いのであろう。 それにしても初の試みの拡大プリント。大きすぎて未だに正対したことが一度もなく。見るのは常に斜めである。会場に飾り付けるまでお預けということに。
『特別展 深川の人形作家 石塚公昭の世界』
『朗読、音楽、スライドで味わう 乱歩と鏡花』予約受付中
特別展『百年目に出会う 夏目漱石展』神奈川近代文学館 漱石像出品
『タウン誌深川』“常連席にて日が暮れる”第4回