明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

燭台  


清方の私物だという菊型燭台と、私もそれに近い物を入手したが、只同じにするつもりはないので、この下手したら江戸時代製の燭台をワイヤーブラシで汚れを落とす作業を一晩やった。今回の撮影はフラットな照明で、立体の陰影で表現できない代わり、見た目に気にならない塗りムラさえも詳細にでる、ということが判ったので、漆のはがれたり塗り重ねているところを生かしてみたい。 清方の燭台も台座の、おそらく朱塗りであった所が剥げているが、燭台は単に背景の一部としての役割しか担っていないように見える。私の場合は画面の中で、この燭台に蠟燭の炎を含め、某かを象徴、代弁させたいと考えているのでデイテールには注意をはらいたい。ハゼノキの木鑞でできているという和蠟燭を立ててムード満点である。 それにしても肖像画の傑作といわれる重要文化財に対して同じ構図でオマージュ作品とは、私も良い度胸だが、清方が自分のイメージを重視し、明らかに写真の圓朝と違うところに魅かれた。やってみて失敗したら、腐らせたり死なれたりしてブログからいつの間にか消えて行った糠床や熱帯魚のように、何事もなかったような顔をするだけである。

HP

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