明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



牡丹灯籠のお露、肝心なことが抜け落ちていた。武家の娘であるから、身だしなみとして、布の袋に房紐の小刀を帯にはさんでいなければならない。小刀は何かで代用するとして、『貝の穴に河童の居る事』の鎮守の杜の姫神様の帯用に入手した金糸を使った布が残っている。後はそれを縛る房の付いた紐だが、古今亭志ん生に背負わせた火焔太鼓にぶら下げた房飾りはあるが、なにしろ売れ残りのボロ太鼓という設定である。確か紅茶で煮たり散々な目に遭わせているので、とても17歳の娘が帯に、という代物ではない。幸い房飾りだけなら、即日配送というサイトを見つけ事なきを得た。私のようにすべて一人でやっていると、ロケ場所探しからなにから、インターネットがなかったら話にならない。 午後、病院から紹介された有料老人ホームへ面接にでかける。入るとピアノの伴奏で老人達が歌を歌っていた。先日、リハビリ施設から断られてしまったが、母は病院がいうほどのことはない、とそこはかとなくアピール。特に問題はなさそうである。母は、ショートステイ、デイサービス、いずれも遠足を楽しみにする子供のように心待ちにしていた。病院でも個室は退屈だ、といっていた。そんな年寄りの話はあまり聞かない。それは実に助かっている。 行きは駅からタクシーで行ったが、タクシーという距離ではないな、と出て来たが、帰りはバス亭もなく、長い日影もない長い道をひたすら歩く。突き当たりを曲がり、と聞くとそこからまた真っ直ぐな道。嫌になった。

HP

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