明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



来月10日からの深川江戸資料館のイベント、チラシはいつできるのか、と聞いたら昨日届いたと、送った方がいいか、というので当然でしょう、と返事。私の円朝を使っているはずである。一体目とほとんど同じポーズの円朝の身体を制作中。幕末明治の頃の噺家は現在のように身振り手振りを使わなかったという。まして円朝であるから微動だにせず。ほとんど同じ物を作るのだから、さすがに面白味はない。 サンフランシスコにいる妹からは日本の老人ホームの様々な噂話を耳にするらしく、できるだけ頻繁に母を見に行って欲しい、とメールが来た。母はどの施設にいても、病院に居てさえ楽しそうにしている。しかし一昨日見舞いに行った時、また昼間から寝ているだろう、と思ったら、無表情に空を眺めていた。それを見て私は一瞬言葉がでなかった。母はすぐ私に気付いたが、私は母のあんな表情を一度も見たことがなかった。行けば長くても20分もいれば、もういいからみんなの所へ帰りなさい、という。しかし父が亡くなって10数年、一人で働き暮らしながら、あんな表情を浮かべていたのか、と思ったらこうして書いていてもたまらなくなってくる。私は母のことなど何も解っていなかったのではないのか。 病院としてはしかたがないことなのか、コルセットで動きが制限されている。母が病院の個室に居た時、廊下の向こうまで聴こえる声で歌っていたのを、迷惑だからと止めさせた。次に入所が決まった施設で、みんなと一緒に早く思い切り歌わせてあげたい。

HP

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