数年前亡くなったロックミュージシャンのプロモーションビデオというのかミュージックビデオが出て来た。架空の黒人ミュージシャンを作っていた頃、本人を作って欲しいと言われた。実在した人等数体しか作った事がなく、まして日本人は作ったことがない。自信はなかったが、やることにした。ついでに他の人形も借りたい、という。 撮影スタジオは某映画で、城の炎上シーンを撮影したという体育館みたいな広さで、スモークをたき、照明を筋状に、いわゆるチンダル現象を、ということであったが、こんな小さな人形なのだから、狭い所で撮れば煙だって楽だろうに、と呆れて観ていた。 しかしとっくに完成しているはずが一向に連絡がない。電話してみると、監督が私の人形を撮り過ぎ、これでは何のプロモーションか判らないと、事務所からクレームがつき没になったという。それは監督に見る目が有り過ぎただけで、それがどうした、と言う話しである。実際はテレビで観た知人が二人ほどいた。 そこからである。没になった、予算がない、とわずかな制作、使用料を払おうとせず逃げ回る。電話に出る事務所のおばさんに同情されながら、結局払わせるまで半年近くかかった。 そうこうして、ある日日本アカデミー賞の授賞式を観ていたら、欠席した巨匠中の巨匠の代わりに登壇し、トロフィーを受け取っていたのが件のプロデューサーであった「コノヤロ~!」 思えば当時、減るもんじゃなし、土下座の直後に口笛吹きながらスキップ、なんて輩が多かった80年代であった。しかしおかげで初期の作品が映像に残った。
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アートコレクターズ(生活の友社)引用の美学 存在しないものを撮る 石塚公昭
『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube
※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載13回『月に兎 泉鏡花