明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



室生犀星は昭和二年『改造』に、松尾芭蕉についてこう書いている。
〝芭蕉が読み捨てられて最早顧られない時代があったら、その時は人類が此の土地の上に棲息しない時であるかも知れぬ。人々が此の土地にゐなくなつても或いは芭蕉だけが、彼の俳句だけが、禿山の上に残つてゐるかも知れぬ〟凄い思い入れだが、さらに〝静寂を慕う魂〟を持った人物で幽遠、寂しさに生きる我が文学の先達と解釈していたらしい。そう思うと芭蕉の実像にこだわり意地になっていた自分はどうなの?と一瞬思ったが、〝静寂を慕う魂〟を持った、かつスタミナ充分の人物、それは矛盾することではない。枯木のような老人にされ、俳句のイメージに利用されて来た芭蕉を微力ながら救い出したのだ、と思い直した。 制作当時すでに芭蕉は年下で、枯木のような芭蕉像に憤慨していたのは、むしろその点であった。今にして思うと、無理やり連れて行かれたフィリピンパブで、私が若く見えると。そんな嘘ついてもしょうがないでしょ、といったらカタコトで、「苦労ガ足リナインジャナイ?」と言われ物凄く凹んだ頃だったんじゃないかと言う気がしてきた。

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 アートコレクターズ(生活の友社)引用の美学 存在しないものを撮る 石塚公昭


『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube  


『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載13回『月に兎 泉鏡花





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