明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



トリュフォーの映画に『アメリカの夜』という作品がある。アメリカの夜とは映画用語で、フィルターをレンズに着け、昼間に疑似の夜景を撮影することを言う。 拙著『乱歩夜の夢こそまこと』において、月光がもたらす恐怖を描いた『目羅博士の不思議な犯罪』で、真っ昼間に撮影し、その太陽光を月光に見立て、夜景に変えた。乱歩作品の中でも独特の味を持つ目羅博士の〝月光の狂気〟を描くには、実際に夜間に撮影するより効果的であったろう。以来、夜だ満月だ、というとこれ専門で、人形を被写体とする限り正直に夜景を撮影することは滅多にないだろう。 ところで『椿説弓張月』で、金に目がくらみ、為朝を裏切った武藤太が、白縫姫に命じられた腰元達に竹釘を打ち込まれるシーンは月夜だった気がするが、陰影を排除する手法では、もはやアメリカの夜でもなく〝行灯があるから、月があるからすなわち夜である〟という浮世絵の手法で行く。 それにしても友人のTさん。たかが私の作品のためにホントにぶら下がらなくてもいいよといったのに、3秒くらいならなんて言うから。
 

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『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube  


『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載13回『月に兎 泉鏡花



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