明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

孤独  


親類に最近独身で亡くなった方がいる人が言っていたが、孤独死と言うけれど、本人は独り楽しくやっていたのだ、と言う。確かにかってなことを言わないでくれ、と草葉の陰で言ってるだろう。 私はというと、これから作るべき物さえあれば寂しいということはない。酒場に行くにしても、しゃべるために行くタイプではなく下手すると二十年通った店で時候の挨拶程度しかしなかったくらいである。 江戸川乱歩言うところの都会の中のロビンソンクルーソーというのがあるが、酒場でああだこうだ言いながら、帰宅時間をできるだけ延ばそうとしている男たちを見ると、家庭の中のロビンソンクルーソーというのもあるだろう。「うちに何台洗濯機があると思ってるんですか!」と聞いた時も、お父さんの孤独が胸に染みた。 私の場合は、他所のお宅にお邪魔して、タンスの前に子供のオモチャが転がっているのを見てゾッとし、猥褻とは、と聞かれて家庭生活、と答えてしまう人間からすると(猥褻なにが悪いと言う前提だが)例えば家庭を持っていたとして、娘の希望により私専用の洗濯機があてがわれ、お父さんの作る人形キモい。などと言われながら団欒の中、”今このテーブルひっくり返したらどうなるだろう?“なんてできもしない事を妄想し続けていたに違いない。私の良い所は、持ち前の想像力により、実際経験しなくても手に取るように目に浮かぶおかげで、若気の至りで、手作りの料理や性欲などというものに負けず、おかげで、未だ一人制作を続けている、という寸法である。

【タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第17回『引っ越し』
『石塚公昭 幻想写真展き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界


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