昔はおみおつけ、またはおつけと言ったが最近は、特におつけは全く聞かない。父が茨城の出だからなのか母が健康を気づかつてなのか、やたら具沢山で、これじや味噌汁煮じやないか、と文句をいったものである。水面から具が盛り上がっている。祖母の味噌汁みたいなのが良い。母方の祖母は東京調で豆腐やワカメが見え隠れしている程度であり、そこに祖父は焼き海苔を一枚浮かべた。あれが良いというわけである。共働きになりしばらくは母も鰹節を削っていた。 ところがである。もう展開はお判りだろうが、引っ越し以来、IHから久し振りにガスとなり、おかげで野菜をずいぶんとるようになったが、今朝の味噌汁などなんでも手当たり次第放り込む有様で、特に今日は、最中にご飯を炊いていないことに気付き、卵ともやしを追加投入したおかげで水面より盛り上がった味噌汁煮となった。
【タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第17回『引っ越し』