明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



織田作之助、坂口安吾、太宰治の無頼派座談会は、織田が大阪から来て、太宰が疎開先から帰えり開かれた。酔っ払ってそれぞれ勝手な事を言い合っていて可笑しい。織田 いま、一銭銅貨というものはないけれども、ああいうものをチャラチャラずぼんに入れておいて、お女郎がそれを畳むときに、パラパラとこぼれたりするだろう、そうするともてる。太宰 どうするの?織田 こいつは秘訣だよ。太宰 一銭銅貨を撒くの?織田 ポケットに入れておいて、お女郎がそれを畳もうとすると、パラパラこぼれるだろう。それがもてるんですよ。太宰 ウソ教えてる。織田 百円札なんか何枚もあるということを見せたら、絶対にもてないね。太宰 ウソ教えてる。坂口 そういう気質はあるかもしれない。 このあと安吾は祇園では七つや八つの女の子を十七、八までに垢すりでヒイヒイ泣いているのをゴシゴシこすって一皮剥かないと美人になれない。渋皮が剥けるというのはきっとそれだろう、なんていっている。太宰は織田作之助とは一月前に初めて会った、と追悼文に書いている。 一九四七年の別の座談会では 坂口 荷風の部屋へ行くと惨憺たるものだそうだ。二ヶ月くらい掃除をしておらんのだ。それでずいぶん散らかっている中に住んでいて、部屋がない、部屋がないといって部屋を探して歩いているそうだ。そういうのは趣味だと思うね。ちっとも深刻でもなんでもない。 坂口安吾は自分自身がこの前年、林忠彦に散らかり放題、ホコリが一センチ溜まった仕事部屋を撮られている。まだ発表されていないのか、されている前提で話しているのか、あんたがいうか、といずれにしても可笑しい。

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