明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昨年、金魚坂での個展は、本物の金魚を使って室生犀星の『蜜のあはれ』を制作したのだった。赤井赤子こと、被写体に選んだ琉金は立派な尻尾をしていたが、さらにそれを強調してみた。赤子はウチに来る事になっていたが、当時はまだ引っ越し先を探している最中で、落ち着いたら取りに行くことになっていた。 小学生の頃から熱帯魚は飼っていたが、金魚は鈍臭い動きが嫌いであった。ところが金魚坂で撮影していたら、赤子という女の子を撮影しているような気分も多少あり、顔を撮ろうとすると、明らかにそむけたりして。そうこうしていると、このフラダンスしているような動きこそが可愛らしく見えて来た。昨年暮れに取りに行こうと思ったら調子が悪い、ということで本日用事もあり、取りに行けたら、と思ったら、死んでしまったという。以前金魚の飼い方を読んだら、金魚に名前を付けてはいけない、と書いてあった。付けた訳ではないが、赤子という気分ではあり、ただ金魚が死んだ、とはやはり何か違った。 砂町図書館に行く。砂町銀座商店街の中を行く。商店は水曜日はほとんど休みで、空いていたので肉まんを歩きながら。歩き食いは世代的にあまり楽しくはない。 一度減らした蔵書をもう増やす訳には行かない、特に持っていた本は悔しくなるので借りて済ますことにする。本は積んだらお終いだ、と肝に命じている。石田波郷コーナーを初めて見る。帰りはすっかり暗く風も強い。開いている惣菜屋を覗くと安い。ソニー・リストンの拳くらいあるチキンカツに切り分け損なったのではないか、とつい確認してしまった。見覚えある店を確認しながら、行きと帰りの区別がつかないせいで、反対側に出てしまい寒い思いする。

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