明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
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太宰の首
太宰治
/
2020-02-14
おおよそ肝腎の頭部が出来ているのに、どうも納得出来ない場合、額が原因であることが往々にしてある。太宰は前回、女性を横に配したために粘土製の頭髪に違和感があり、自分の髪を撮影して合成した。昨年、作り直そうとして傷口を広げ、収拾がつかなくなり、捨てて来ようか、と一瞬考えたが、例え酷い状態であろうと、それまでかけた念だけはこもっている、一から始めるより良いだろう、と団ボールに放り込んでおいたのを作り直し、髪に隠れていた額がまずかったのだ、と気がついて、ようやく生き返った。 酒場の太宰も良いが、晴天の元、一人すっくと立つ太宰というのも良いような気がしてきた。ただ、単純に空を背景に、というのはどうも物足りない。そこで一つアイディアが浮かんだ。カラフルな所がかえって面白そうである。 以前住んでい所であれば、この頃合いで首をポケットに入れ、酒場に出かけた所であろう。見せられる方は、何かいわないとならないだろうし、迷惑な話であったろう。作者とすると、作り続けて目が慣れたところで、ちょっと目を離し、間を置くと違って見えることがある。ポケットの中で、変わっちゃいないだろうな?つい取り出しては確認したくなるのである。まして家に置いて出かけて、帰って見たら印象変わってた、なんて怖くてしようがない、昔は違って見えて慌てることが多く、おかげでそんなことが習慣になってしまった。本当は酔客に見せびらかすのが本意ではなかったが、そのうち世間話のネタにもなっていた。
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