明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



部屋を片付けながら、私が手本にしたい某浮世絵師の画像の色眼鏡をかけたままの状態である。昨日ブログを書いていて思い出した事がある。私が遠近感についてこだわるのは、両目で作る立体と一眼の写真との間に理由があるのは明らかであろう。私はデッサンもろくすっぽやらずに我流で人形を作り始めたが、よって初期の頃は、対象を離れてチェックすらしなかった。つまり目の前で作っていたせいで、両目の距離の分、頭部の側面を開いて見てしまっており、まさに逆遠近法で見ていて作った人物は、写真で撮ると幅が狭くなってしまう。ちょっと腕を伸ばして眺めるか、片目をつぶって見れば防げるものを、それに気付くに時間がかかった。お粗末にも程があるが、自分で写真を撮るようになり、澁澤龍彦の背後にクラナツハ調のヌードを配したが、クラナツハは解剖学的にはいい加減で、臍は真ん中になかったり、脚は変な方向に捻れていたりしたが、一眼で見れば成り立って見える、という。展示は出来ないが、一方向から撮る写真であれば成り立つという事を、極最初から試みていた。これかパースを強調して造形した気球の乱歩とどちらが先かは忘れた。 後で考えて見れば、前述の失敗経験から来ているのだと思う。先に写真を始めていれば、こんな事にはならなかったろう。 テレビドラマで北斎役の長塚京三が、西洋画を見て「観たまんま描いていやがる。」と呟いたシーンが忘れられないが、私もなんとか頭の中に浮かんだまんま描いてみたい。

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