板葺きの板は風雨にさらされ、歪んだり、反ったりしている感じを出そうと、ボール紙、昔の馬糞紙をカットし、一晩水に浸けて乾かした物を使った。今時のボール紙ではなく、かつて馬糞紙と呼んだのを思い出し注文したが、それでも昔の物より洗練されていた。結局早朝から始めて深夜までかかった。これで外観に関しては、縦目の板が足りなくて一枚しか作っていない出入り口の戸板一枚を作れば、おおよそ完成である。これで手順上、後回しになった漆喰に取り掛かかれる。 それにしても、何が大変だったといって、私の辞書には直線、直角、垂直など全く載っていないことである。人間像を作る上には無縁である。これはどう考えても、石塚式ピクトリアリズムにおける陰影の排除に次いで、逆遠近法を取り入れるために、背景を予め逆遠近に作っておき撮影するために、芭蕉庵で練習しておけ。という天のお告げ?としか思えず。フォトショップで歪ませるだけでは写真である。という先入観に阻まれ失敗。私が日頃見る人の写真に対する先入観を利用していて、ここへ来て逆襲を食らった。逆遠近法的直線の活きる風景といえば室内風景しかない。