禅僧が描いたという悪戯描きのような禅画は、そこがいかにも禅的ではあるし、禅僧が描くのだからホンモノではあろうが、やはりアマチュア画であり、へのへのもへ字みたいな寒山拾得は全く趣味に合わない。 平成六年、栃木県立博物館で行われた『寒山拾得 描かれた風紀狂の祖師たち』の図録は、寒山拾得に関しては決定版と思われ、引っ越しの際忘れて来たので昨年買い直した。久しぶりに眺めてみたら。図録の内容がまるで変わったかのように、良いと思う作品が少なくてびっくりしてしまった。“自分が変われば世界も変わる”。その実にコンパクトな感じを味わう。自分の外の世界にアプローチすることなく、こんなことが可能なのが、この渡世の良いところである。