掛け軸は梁からぶら下げると長過ぎて掛けにくかったが、塩ビパイプに巻き付け、短くすることが出来たので『虎と豊干図』をかけているが、隣に『虎渓三笑図』を並べてみようと考えている。禅画のモチーフは面白い。 高僧惠遠は、盧山で三十年間山から下りないと誓い、修行をしていた。客人を送る時も俗界との境界である虎渓という谷を越えることはなかった。ある日、友人陶淵明と陸修静が訪れ、見送る際に話に熱中し、つい虎渓の石橋を渡ってしまった。それに気付いて三人で大笑いしている図である。実にたわいがない。禅画のモチーフは、禅僧、また絵師の作品にしても簡素化されていることが多い。私がもし手掛けるなら、あえて無駄にリアルにしてみたい気がする。 私のモットーの一つに“及ばざるくらいなら過ぎたる方がマシ”というのがある。2000年、HPを始めるにあたり、身辺雑記のタイトルを危なくそれにするところであった。今考えると、“明日出来ること今日はせず”。似たり寄ったり、どっちがどうというほどのことはなかったけれど。