寒山拾得は、どう扱えば良いか。当初は昔から描かれて来た場面をただ私なりの方法で制作し、と考えていた。最初に知ったのは森鴎外が『寒山詩集』の序文をもとに書いた『寒山拾得』を読んだことであった。であれば、寒山詩集を編んだ閭丘胤が頭痛に悩んでいたところに豊干が現れる所から、そのストーリー通り描き、そこに四睡図(豊干、虎、寒山、拾得が寄り添い寝ている)などの外せない名場面を差し挟む。だが、そうなると出版するならまだしも、名場面でもない場面も作ることになる。であれば、三島由紀夫のオマージュ展といいながら、芭蕉や北斎、太宰も出品したように、例えば虎渓三笑図のようなモチーフを選ぶか。 棚からボタモチのように降ってくるイメージは結論まで出ている状態で降って来るのに、頭で考えることはああだこうだ迷ってしまう。まあ、両方で私、ということなのだろう。