明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

  


最初、豊干禅師実は阿弥陀如来的に考えていたが、寒山と拾得、実は文珠菩薩と普賢菩薩、同様、虎に乗る怪僧、とすべきではないか、と思い始めた頃、入手したのが藤本鉄石の『豊干と虎図』であった。まさに怪僧である。毛がモジヤモジヤしているところまで、新東宝の『東海道四谷怪談』の宅悦役や『地獄』に出ていた怪奇俳優大友純を思い出す。幼稚園に通園中、選挙カーで笑顔で手を振る大友純を見たことがあるが、明らかに目撃した大人たちは固まっていた。選挙の応援は人を選んだ方が良い。しかしありがちなことだが、真面目で優しい人だったそうである。あの顔でホントに悪かったら処置無しである。 ところで豊干はともかく虎である。藤本の虎は、最後弟子と二人で壮絶な討ち死にした攘夷派の志士とは思えないとぼけた虎である。これを見ているうち、虎も勇猛な虎は違うのではないか、と思い始めてきた。必ず作らなければならないモチーフに四睡図がある。虎と豊干と寒山と拾得が寄り添って平和な顔で寝ている図である。まあ虎は豊干の頭部を作ってからだけれど。そろそろ寒山拾得の膜に覆われた気分になりつつある。



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