専門学校の陶磁器科当時、アパートの隣の部屋に住んでいた年上の同級生に孫ができ、ばばと相成り、という年賀状が着ていた。当時鍵がかけてある彼女の部屋に泥棒が入り、開けっ放しの私の部屋は入られなかった。先客が荒らした後だと思われたんだろう、ともっぱらであった。三島由紀夫の『潮騒』を手がけた時、鳥羽に住む彼女が海女の着る“磯着”を探し出してくれた。今は観光用以外であの格好をする人はいない。どうしても使用方法の不明な一布は使わなかった。今はない『元祖国際秘宝館』の初代館長で経営者は彼女の叔父さんであった。
再び実家にもどり河童の三郎の頭部三体目。制作時ブログに書いたが、ハリウッド映画の、かつての悪役リチャードウイドマークのほんの短いシーンをユーチューブで観たせいだと思うのだが、当初考えていた顔と若干変わった。おかげでサッドフェイスがかっており、何もしなくても若干泣き顔っぽい。そこから笑顔に持って行くのは後回しにし、怒りの表情に次いでビックリ顔を作ることにした。 マテ貝の穴に隠れた河童。そこをマテ貝を掘り出そうと、旅館の番頭が客のステッキを借りてグサッとやる。本来マテ貝は、穴の上に塩を置き、塩分濃度の変化に貝は驚いたようにピョコッと頭を出す。そこを素早く摘みだすのである。常に泊まり客を海辺に案内していたであろう番頭とも思えぬ乱暴な方法をとったものだが、おかげで腕を折られた河童の恨みをかうことになる。腕を折られた瞬間の表情はどうであろうか。 この話が面白いのは、人間は河童の恨みどころか、その存在を知らないまま物語が終わることである。その一方で河童はジタバタしたあげく、実に単純に機嫌をなおし、住まいの沼に帰って行く。やはりポイントごとの河童の表情は大事であろう。
過去の雑記
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