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日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

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『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』好評発売中

2020-10-11 20:34:32 | The Last Leonardo

最後のダ・ヴィンチの真実

510億円の「傑作」に群がった欲望

ベン・ルイス・著/上杉隼人・訳

¥3,200(本体)+税   発売日:2020年10月05日

好評発売中。

https://www.shueisha-int.co.jp/publish/%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%81%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F

13万円で落札された絵画は、なぜ12年で510億円になったのか?

アートの価値は誰がどのように決めるのか、価値と値段は比例するのか――。

最後のダ・ヴィンチ作品の発見として注目を集め、その後、史上最高額の510億円で落札され話題となった男性版モナリザ『サルバトール・ムンディ』。

その謎に包まれた足跡を追う中で見えてきた美術界の闇。衝撃のノンフィクション!

 

アートをとりまく桁違いの華々しさと、深い闇

この本には、中世の王侯貴族のコレクターたち、修復家、怪しげなディーラーから、現代の美術界の頂点から最下層にいる人びとまで、さまざまな個性的な人物が登場する。2005年に『サルバトール・ムンディ』を「発見」した美術商アレックス・パリッシュは、ニューヨーク近代美術館のギフトショップから美術の世界に入った、まさにその底辺にいた人物だった――。

さながら「男性版モナリザ」をめぐるミステリー小説

ギャラリスト、オークショニア、コレクター、修復家、批評家、そしてタックスヘイブンにあるフリーポートを使って誰にも知られず密かに絵画を売買する超富裕層の存在――著者の筆はそれぞれの仕事の詳細や理想、葛藤、プライド、そして欲を残酷なまでに赤裸々に描き出す――510億円の「傑作」男性版モナリザに群がった欲望の先に見えたものとは。

ダ・ヴィンチは自分の絵のたどった運命に満足しているだろうか

修復前の「大破」した状態の画像ほか、ダ・ヴィンチが『サルバトール・ムンディ』のために描いたスケッチや、弟子による複製画など、多数の貴重な画像をカラーで掲載。

特に、『サルバトール・ムンディ』の「修復」の各段階の画像を詳細に比較して見ることができるため、あまりの違いに驚愕するに違いない。果たしてこれは許される「修復」の範囲なのか、ぜひその目でお確かめいただきたい。

【内容】

没後500年を経て関心が高まっているレオナルド・ダ・ヴィンチ。その幻の名画『サルバトール・ムンディ(世界の救世主)』は、100年ぶりに美術市場に現れた当初、わずか1175ドル(約13万円)で売買されたが、その12年後の2017年にクリスティーズのオークションで美術品としては史上最高額である4億5030万ドル(約510億円)で落札された。

ダ・ヴィンチ最後の個人所有作品であり長年行方不明だったその名画はどこにあったのか、誰が落札したのか、そもそも本当にダ・ヴィンチの真作なのか――謎に包まれた「男性版モナリザ」に世界が注目した。

1500年頃に制作されたこの小さなキリスト画が、1649年のイングランド王チャールズ一世処刑後、20世紀にアメリカの無名で善良な美術愛好家の手に渡り、そこから再び表舞台に登場するまでを詳細に追う。

「大破」していた作品を修復した結果、真作と判定され、所有者となったロシア人大富豪により再びオークションに出品、サウジアラビアの謎の人物に落札された「最後のダ・ヴィンチ」の陰には歴史・経済・政治も絡む推理小説さながら様々な人物・組織がうごめいていた!

【書評】

■まるでアガサ・クリスティのミステリー小説を読むかのようだ

……………『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』

■美術市場の腐敗と恥部を暴露……………『デイリー・メール』

■1枚の絵が510億円もの値段で取引された「巧妙なトリック」を生々しく抉り出す……………『フィナンシャル・タイムズ

判型       四六判

ページ数              472ページ

ジャンル              ノンフィクション

ISBN      978-4-7976-7387-6

Cコード 0098

著者略歴

ベン・ルイス(Ben Lewis)

母国イギリスを中心に、著者、ドキュメンタリー・フィルム制作、美術評論などで活躍。著書に共産主義政権を揶揄した『ハンマーでくすぐる』(2008)、ドキュメンタリー・フィルムに現代美術について論じたテレビ・シリーズ『アート・サファリ』(2003~05)がある。

上杉隼人(うえすぎ・はやと)

翻訳者(英日、日英)、編集者、英語・翻訳講師。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同専攻科(現在の大学院の前身)修了。訳書に『スター・ウォーズ』[全作、I~IX]『アベンジャーズ エンドゲーム』(共に講談社)ほか多数。

目次

プロローグ レオナルドの伝説

1 ロンドンへのフライト

2 埋もれた宝

3 感じる(、、、)!

4 青の手がかり

5 ヴィンチ、ヴィンチア、ヴィンセット

6 サルバトールのすり替え

7 復活

8 数多くの『サルバトール・ムンディ』

9 天上会議

10 地上最大のショー

11 おい、クックは手放したぞ

12 オフショアの偶像(アイコン)

13 一九分間

14 ニューオーリンズに一軒の家がある

15 砂漠に立ちのぼる蜃気楼

日本の読者の皆さんへ 『サルバトール・ムンディ』は今どこに?

関連リンク

ベン・ルイス(Ben Lewis)ホームページ

著者より日本の読者に向けた特別インタビュー動画(上杉隼人のブログGetUpEnglishより)

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『MONKEY』NEW WRITING FROM JAPAN VLUME 1 2020(4)

2020-10-11 08:10:36 | M

『MONKEY』NEW WRITING FROM JAPAN VLUME 1 2020収録の作品は、どれも信じられないくらい翻訳の質が高い。ここのところ、毎日興奮して拝読している。

 今日のGetUpEnglishもそのすぐれた英訳のひとつを紹介する。

 岸本佐知子のエッセイ「三崎」をベテラン翻訳者のTed Goossenが翻訳している。

 岸本佐知子のエッセイは日常の何気ない出来事を取り上げながら、随所に事実と妄想と笑いが巧みに織り交ぜられ、気がついたら岸本ワールドに連れ去られてしまい、もう戻ることはできない。だが、岸本が訳す小説と同じで、時折現実感を強く感じさせるもの悲しさを見せられることがあって、気持ちが和む。

この「三崎」では岸本たちが「飲み合宿」に出かける話だが、以下の部分がそうだ。

 港はいいつもぽかんと晴れて温かく、カモメが空で輪を描き、道端のゴムの木は南国みたいにばかに大きくて、そんなものをぼんやりと見ながらきんと冷えた白ワインを飲んでいると、ああ生きているとい感じがふつふとわいてきて、ただひらすら楽しく、楽しすぎてなんだか悲しくなってくる、それで帰りの京急の中でまた飲む。

 この部分をテッド・グーセンはどう訳しているかというと、

It is always thus:  the harbor sunny and warm, the seagulls floating lazily in the sky, the rubber trees ridiculously tall, as though growing in some southern land.  Gazing upon these things and sipping our chilled white wine, the feeling rises in our breasts that, yes, this is what it means to be truly alive, a most pleasant emotion, too pleasant perhaps, since in the end it leaves us somehow sad.  It is for that reason that we drink even more on the Keihin Express back to the city.

「南国みたいにばかに大きくて」あたりを動詞growを充てて対応しているあたりがさすがだと思うし、日本人の日英翻訳者にはなかなかできないことだ。そしてこの発想、英日翻訳にも使えると思う。

「ああ生きているとい感じがふつふとわいてきて、ただひらすら楽しく、楽しすぎてなんだか悲しくなってくる」あたりも見事に英語に訳されている。

 

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