集英社インターナショナルのサイトやFacebookにも記されているが、最後のダ・ヴィンチの作品とされる『サルバトール・ムンディ』には実はかなりの修正が施されている。
『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』好評発売中です!
本書には『サルバトール・ムンディ』の「修復」の各段階の画像をカラーで掲載しています。比較して見ると、そのあまりの違いに驚愕するはず。果たしてこれは許される「修復」の範囲なのか、ぜひその目でお確かめください。
『サルバトール・ムンディ』の上塗りをすべて洗浄すると、右手には親指が2本あることがわかりました。これはペンティメントと呼ばれ、制作者が途中で描き直した証しとされるもので、複製や贋作には見られないものです。口絵に掲載の図でも、2本目の親指がはっきりと確認できます。
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キリストが掲げた右腕の親指は実は二本描かれていたが(写真参照。レオナルド、もしくは別の者による「下書き」が残されていた)、それが修復される事実も『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』には克明に記されている。
不確かな状況がつづくなかで、『サルバトール』擁護者たちのあいだに亀裂が生じた。ケンプはのちに謝罪したが、『ガーディアン』でモデスティーニの修復作業を遠まわしに批判したのだ。あの絵のキリストの掲げた右手の親指が二本残されていたことについて、美術評論家のジョナサン・ジョーンズに、「ダイアンは一本にしたが、二本残しておいたほうがよかった」と述べたのだ。
「ダイアンは一本にしたが、二本残しておいたほうがよかった」は、
‘Both thumbs are rather better than the one painted by Dianne.’
という言い方になる。
「果たしてこれは許される『修復』の範囲なのか?」
ぜひ本書でお確かめいただきたい。